コラム

2024/06/24

ネコろんで読む英語コラム (12)雨とshower

前回、cats and dogs(土砂降り)のお話をしたけれど、雨に関する表現って日本語にはいっぱいあるなぁとこの時期になるといつも思う。
 
やはり梅雨のある国だからだろうか。
 
小雨、小ぬか雨、春雨、五月雨、梅雨、秋雨、氷雨、涙雨、時雨、通り雨、などなど思いつくだけでもこんなにある。雨は和歌にもよく登場するし、歌謡曲や演歌のタイトルや歌詞にも登場する。
 
私がまだ物心つくかつかないかの頃、「雨の御堂筋」という歌が流行っていた。台湾出身の人気歌手、欧陽菲菲が「こんぬか~あめふる~み~ど~お~すじ~」と歌っていて、小ぬか雨という言葉を初めて知ったのだった。
 
英語にも雨に関する単語はたくさんあって、一度とんだ勘違いをして恥をかいたことがある。
 
当時付き合っていたアメリカ人の恋人と待ち合わせをしていた時のこと。
「I got caught in a shower!」と小走りでやってきた彼がアンニュイな顔つきで言う。見ると髪の毛が濡れているではないか。大急ぎでシャワーを浴びて乾かす時間もなく飛び出してきたのか。
 
なんだかちょっと気の毒になった私は、髪の毛くらいゆっくり乾かしてきてもよかったのにと慰めたところ、ポカンとされてしまった。数秒の間が流れたのちプッと吹き出す彼。いやいや、そのシャワーじゃないよ、とそこから英語のレッスンになってしまった。



そう、showerには「にわか雨」という意味があるのだ。
I got caught in a showerとはつまり「にわか雨につかまっちゃってね」という意味で決してシャワーを浴びていたわけではない。
 
「shower=シャワー」と丸暗記していたことによる典型的なミスであった。Showerの持つ言葉のイメージは「降り注ぐ」「浴びせる」で、必ずしも水だけに使われるわけではない。
結婚式で花嫁に米を振りかけるrice shower、子供の誕生を祝うbaby showerなんかもある。単語を覚えるときは本来のイメージを理解することが大事だと、その時に思い知らされたのだった。
 
ちなみに、雨を意味する英単語はほかに、drizzle(小雨)、heavy rain(大雨)、downpour(豪雨)、storm(嵐)などがある。
 
日本語のように季節感のある春雨や五月雨といった表現は英語にはなく、こういうところにも文化が表れていて面白いと思うのは私だけだろうか。
 
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執筆者プロフィール

Yumi

English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。

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