2024/06/17
ネコろんで読む英語コラム (11)なぜ土砂降りは“cats and dogs”なのか
認知度の高い英語表現のひとつに、It rains cats and dogsというのがある。
「あ、知ってる」と思った人も多いのでは?
土砂降りという意味の慣用句で、さほど英語に興味のない人でも知っているという不思議なフレーズ。まあ、理由は英語の教科書に載っているからなのだけど、「猫と犬」で土砂降りという意外性が印象に残るからか覚えている人も多いのだろう。
で、このcats and dogsの語源は何なのか気になったので調べてみたところ、大きく二つの説があるようだ。
ひとつは、雷鳴と稲妻は cat-and-dog fight、つまり犬と猫の喧嘩のような騒がしさだからという説。このcat-and-dogはいがみ合う仲という意味の形容詞で、日本語だと犬猫ではなく犬猿の仲と言う。どちらにも犬が含まれているのは興味深い。
そして二つ目は、古代神話で猫は大雨を降らせる土砂降りのシンボル、犬は風を起こす強風のシンボルだからという説。まあ、どちらにせよ犬にとっても猫にとっても不名誉なことに変わりない気がするが・・・
ところでcats and dogsというフレーズを実際にネイティブが口にするのを聞いたことは、私は一度もない。唯一、昔読んだ推理小説か何かの中に出てきたくらい。
その時に「お、cats and dogsって書き言葉では使うのか!」とちょっとした感動を覚えたものだった。
話し言葉ではおそらく死語なのではないかと思う。
若い人に向かって「It’s raining cats and dogs」と言ってはたして通じるのかどうか。勇気のある人はぜひ試してみて(笑)。
土砂降りの一般的な言い方は pissまたはpiss downである。It’s pissing (down).というフレーズはアメリカ人が言うのを幾度となく耳にしたことがあるし、映画やドラマでもよくつかわれている。
ただしこのpissという単語はスラングで小便という意味もあるので要注意。あまり上品な言葉ではないので使う場合はTPOをわきまえましょう。
It’s raining hard.というのが無難。スラングはよほど流ちょうな人でないとそこだけ取ってつけたようになってしまうので気を付けたい。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
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