2024/04/17
ネコろんで読む英語コラム (3)カタカナの呪い
私は日ごろ英語の発音矯正を行っているのだけど、職業病なのかカタカナ語に過剰反応してしまうきらいがある。
特にビジネスの世界ではやたら“ナンチャッテ横文字”が多く、本気で理解できないことも少なくない。
「これ、マスト(must)だから」とか言われると「マスト(mast)?なんでいきなり船の話になるんだろう」とか思ったりしていた。最近はかなり慣れたけど、それでも時々ついていけなくなることがある。
和製英語の困った点は発音が違うということもあるけれど、そもそもそんな単語存在しない、完全なる造語だったりするところにある。
その代表格が「キャビンアテンダント」。
そう、かつてはスチュワーデスと呼ばれていたあの花形職業、客室乗務員を指すカタカナ語である。これ、英語から来ていると思われるかもしれないが、英語にcabin attendantという言葉はない。
客室乗務員は英語でflight attendantという。
だったらなぜカタカナにする時フライトアテンダントにしなかったのか。
そして事態をさらに悪くしているのが、日本人が大好きな略語。キャビンアテンダントが長すぎるからか、略してCA(シーエー)と呼ぶのが一般的になってしまった。
CAなんて、カリフォルニア州かと思ってしまうじゃないの!
この、ありもしない英語を作ってしまう日本人の想像力の豊かさが、かえって英語習得の足を引っ張っているのではないかと私はひそかに思っている。
略語と言えば、最近そりゃないだろうと思ったのが、カスハラ。
カスタマーハラスメント、略してカスハラ。
いやちょっと待って、カスって。
いくらなんでもカスはなかろうて。大阪人の私はどうしても「アホ、ボケ、カス!」を連想してしまう。
昨今は語尾にハラが付けばまずハラスメントの略語だろうと思って差し支えないようだ。スメハラなんて言葉も見た。スメとはsmell(臭い)のこと。たばこの臭いをプンプンさせて周りに不快感を与えている人のことを指すらしい。
「あのスメハラ男!」とか言ったりするのかな。どことなくモルダウの流れとともに壮大な交響曲が鳴り響くような気がしてくるのは私だけだろうか(それはスメタナ)。
なんだかんだ偉そうに語ってしまったけれど、ここだけの話、子供のころスプライトとストライプを混同していた。中学1年くらいまでストライプのことをスプライトだと思い込んでいたのだ。
「そのスプライトのシャツ、かっこいいね!」とか嬉しそうに言っていた。
こんな私でも今こうして英語で食べていけているのだから、世の中たいていのことは何とかなるものである。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
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