コラム

2024/04/07

ある編集者のつぶやき #14 TBSが東京エレクトロンから得る巨額の配当金

ドラマ『VIVANT』は壮大なストーリーだが、制作したTBSの過去もドラマチックだ。
 
#13で触れたとおり、きっかけは旧・日商岩井に勤務していた久保氏だ。
当時まだ㈱東京放送の技術部長だった吉田氏を突破口にし、副社長だった今道潤三氏にコンタクト。500万円の出資金を引き出すことに成功した。
 
最初の本社所在地は、赤坂の東京放送放送センターの中だったという(現在は赤坂Bizタワー(=TBS保有の高層オフィスビル)38階に入居している)。
今道氏は「金は出すが口は出さない」という優れたスタンスを貫いた。
おかげで、東京エレクトロンの久保氏と小高氏は思う存分経営に集中することができたのだ。



創業から60年以上が経ち、東京エレクトロンは大きな成長を遂げた。
TBSが出資したのは500万円だったが、いまや時価総額が実に17兆円超(2024年3月11日現在)にまで大化けしている。
 
TBSは当初のように全額出資をしているわけではないが(増資などが繰り返されたり、TBSが適宜保有株を売るなどしたのだろう)、現在なお第4位の大株主になっている。
TBSが保有する東京エレクトロン株の時価は約2千億円で、これはTBSHDの時価総額の1/3を占めている。
 
2023年3月期実績では、TBSは東京エレクトロンから30億円を超える配当を受け取っている。
 
TBSにとって東京エレクトロンへの500万円の出資は本業とは関係ないものだった。
それが今では何もしなくても30億円もの配当を生み出すお宝株になっているのだ。『VIVANT』に負けずとも劣らないスケールの話ではないか。
(#13につづく)
 

プロフィール

ある編集者

大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。

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