コラム

2024/04/14

ある編集者のつぶやき #15 『VIVANT』はビジネスとして失敗したが、TBSにはまた新たな挑戦をして欲しい

#14からの続き)
本業とは関係のない500万円の出資で、東京エレクトロンから数十億円もの配当を受け取っているTBSだが、この利益がそのまま潤沢なドラマ製作費に回っているとは一概には言えないだろう。
 
しかし上場企業であり、決算において特に純利益で黒字を出せているかどうかを株主から厳しい目で精査されるのだ。TBSとしては、この配当金は大きな安心材料であることには間違いない。
 
『VIVANT』は明らかに最初から海外の配信サイトでも利益を得るべく、『半沢直樹』『下町ロケット』といったドラマで次々と高視聴率を叩き出してきたエースディレクターの福澤克雄氏(福澤諭吉の玄孫という面白い血筋の人でもある)の才能に賭けた作品である。



結果は残念ながら海外配信ではまったく振るわず、全体としては大赤字、続編は幻となってしまったようだ。
だが少なくとも財務的な裏付けがなければ、このような無謀ともいえる挑戦は決してできない。
 
昨年『VIVANT』が話題になっていた頃、私はTBSの吉田稔氏と今道潤三氏といった当時の社員、経営陣の慧眼を思い、実に素晴らしい決断で後世に財産を残したテレビマンがいたことに静かな感動を覚えていた。
TBSには堅固な財務基盤を基に、また新たな挑戦をして欲しいものだ。

(この項終わり)
 

プロフィール

ある編集者

大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。

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