2024/04/16
【毎日がエンタメ】台湾ダイエットの後日談―韓国・ソウルの食堂で吐き気と闘う―
台湾ダイエットの続き。
台湾で埋線(マイシェン)の施術を受けたあと、仕事で韓国に行った。
処方された薬を飲み続けていたけど、薬のせいなのか、たまにムカムカした。ふとした拍子に吐き気を感じることも多々あった。
ホテル近くの食堂でキムチチゲの朝食を取ったときのこと。
安定の美味しさだったが・・・・・・
いきなり咳き込んだ。
どうやらキムチチゲに入っていた唐辛子が、のどちんこに貼りついたらしい。
ただ咳き込むだけならいいが、この咳が呼び水になったのか、次の瞬間、大きな波が胃からせり上がってきた。
「これはヤバい」と思った。
出してはいけないものが上がってきたので、精一杯、飲み込んだ。
そしてまた咳込み、やっぱり胃からせり上がってきた。
2回目は喉のラインを越えることはなかった。
冬だったけど、へんな汗が出てきた。もう、恐怖しかない。
ここは韓国の食堂だ。
もし私が堪えきれず、今食べたばかりのキムチチゲをこの場で吐いてしまったら、どうなるだろう?
想像しただけで恐ろしい。
日本ではタクシーで吐いたりしたら、清掃費を請求されると聞く。
ここはタクシーの車内ではないけど食堂なのだ。私が粗相してしまったら間違いなく営業妨害になり、店のアジュンマたちから袋にされるだろう。
そんな想像をしたら急に恐怖でいっぱいになった。
一度、トイレに行こうかとも思ったけど、咳込まなければ大丈夫だし、今食べたばかりのチゲを無理してトイレで出すのもどうかと思った。
そこで目についたのが食堂にあるゴミ箱。
韓国の食堂によくあるテーブル下のゴミ箱。
万が一、また咳込んで大きな波が来たら、これを使うしかないかも。そう思った。
ゴミ箱が満杯だったので、少しスペースを空けておく必要がある。
…と思ったら、アジュンマ(おばさん)と目が合った。
いつ粗相してしまうか恐怖でいっぱいだったが、そんな私を見るアジュンマの目にも恐怖の色が浮かんでいた。
食堂のテーブルでゴミ箱を漁る女―。
挙動不審と思われたのか、アジュンマはずっとコチラを見ている。
私が視線を向けると必ず目が合うのだ。
もう、ここにはいられない。
会計して店を出ようとすると、アジュンマは安心した表情を見せた。
ダイエットにはいろんな犠牲が伴うものなのだ。
*****
東大門の『ユジョン食堂』だった。
ここは24時間営業で、メニューも豊富。何度もお世話になった食堂だけど、このあとはしばらく行けなかった。
やっぱり薬が少し強かったのかもしれない。全部飲み終えたら吐き気はなくなった。
執筆者プロフィール
児玉愛子(らぶこ)
韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。
さわ
フリーランスのイラストレーター。海外のガイドブックやコスメ本等を担当。
当サイトのイラストエッセーでは原作者の意向に従い、不本意ながら下手クソに描いてる。
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