日本エンタメ

2024/08/10

ある編集者のつぶやき #32 『ぼくらの七日間戦争』宗田理と元テレ朝アナウンサー竹内由恵の意外な関係

最近、ふと『ぼくらの七日間戦争』を観直したくなってU-NEXTで観てみたら、意外なほどいい映画で満足度が高かった。
 
確か1991年ごろの休日、夕方ぐらいにテレビで再放送をやっていて、それが最初に観た記憶だ。ラスト付近の戦車のシーンとラストの花火のシーンが印象的な作品だ(映画自体は1988年公開)。
 
映画の内容は置いておくとして、この作品に関わった人々の名前に思いを馳せてみて、個人的に何となく「エモい」感情になったので記しておきたい。
 
まず言わずと知れた宮沢りえのデビュー作である。撮影当時14歳ぐらいだったそうだが、この時点ですでに完成されている。スターの輝きというのは凄いものだ。
そして主題歌はTM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」。映画のタイトルそのまんまの曲名である。挿入歌に「GIRLFRIEND」などもあり、劇伴は小室哲哉がすべて担当している。

 
原作者の宗田理については、ある時代の少年少女にはあまりにも有名な名前だろう。
今年4月に亡くなってしまったが、今はもう誰も彼の作品を読まないかもしれない。
 
宗田理はライトノベル作家の走りのような人だったが、食えない時代、森脇文庫(昭和の怪物実業家・森脇将光の作った出版社)の編集者だった時代がある。柴田錬三郎、水上勉、松本清張といった錚々たる作家を担当していた。
 
森脇文庫は情報機関の側面があり、宗田の書いた「森脇メモ」が、吉田茂内閣を倒した一つの契機となった「造船疑獄」に繋がったと言われる。見た目ののんびりしたイメージとは裏腹に、かなり奥深い人物なのだ。



宗田は編集者時代に、経済小説で名を馳せた清水一行を担当したりもした。
だが清水一行の名も、今や誰も知らないだろう。高杉良や城山三郎らと並ぶ経済小説の大家で、城山三郎の2倍の作品を残したとされる。そのほとんどはもう絶版である。

 
作家の黒木亮(小池百合子の学歴詐称疑惑を執拗に追いかけている、カイロ・アメリカン大学卒のイギリス在住作家)が最近、この清水一行の評伝『兜町の男 清水一行と日本経済の80年』を書いたが、そこにこの宗田理のエピソードが出てくる。
 
なお、清水一行の孫娘は元テレ朝アナウンサーの竹内由恵である。意外なところで意外な人が繋がっているものである。

プロフィール

ある編集者

大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。

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