コラム

2024/01/01

【食い意地編集者 脳内日記 ~こんなことばかり考えて食っていた~】第1回 大盛無料より小盛割引を!

現役時代は情報誌の飲食店トレンド情報や、青年コミック誌の国民的グルメ漫画などを担当。たいした美食家じゃないけど食い意地だけは、だれにも負けない?
そんな食い意地編集者が、どこにでもあるファミリーレストラン、ファストフードチェーン、コンビニフードから、スーパーの調味料棚、デリバリー弁当まで、だれもが毎日、気軽に食べている〝あれ〟を食べながら考えた、食うことに関するあれこれを、つれづれなるがまま綴ります。
ただの美味い店ガイドじゃない! これぞ持続可能なグルメ情報?

 

《第1回》大盛無料より小盛割引を!

 私は大飯食らってうれしい年頃を、とっくに過ぎたが、こんな歳になった今、街には「大盛無料」やら、「ご飯食べ放題」を謳う飲食店が、やたら増えている(ような気がする)。
 もしかしたら、今の自分にはうれしくないサービスを見るたび、かすかに悔しくて、こちらの記憶に残っているだけなのかもしれないけど、妙に目につく。
 
 2020年から全店に〝ごはんおかわりロボ〟を導入して、おかわり無制限無料を打ち出した『やよい軒』。
 2019年に15時から24時まで限定で、定食のご飯おかわり無料化に踏み切った『吉野家』は、今ではそれを24時間に拡大。朝食でもご飯は大盛無料だ。
『ガスト』も2023年から定食のご飯大盛変更が無料になった。
 
 昔から、取り放題のサラダバー、スープバーで名高い『フォルクス』は、ステーキなどのグランドメニューにライスがついてなくて〝燃油サーチャージ商法〟と(私の個人的な)批判を浴びたが、別料金をプラスしてオーダーさせるやましさからか(?)ライスを頼むと何杯でもおかわり自由。
『ステーキ宮』や『ビッグボーイ』は、サラダバー、スープバーに、ライスバーも併設していて、客の裁量に任せて、ご飯はおかわりし放題だ。
 
 すばらしいけど、今の私には無用の長物。
 学生時代に、こんなのやっていてほしかった。



 それよりも外食チェーン各社に導入を促したいのは〝ご飯少な目割引き〟
 ほとんどの飲食店はプラス料金を支払えば、ご飯を大盛にはできて、店員に頼めばご飯少な目にも応じてくれるが、その場合、特に値引きはしない。
 私は、ご飯大盛は有料でいいから、小盛割引を導入してほしいのだ。
 もちろん、大盛は無料で、小盛は割引なんていう〝神対応〟があれば最高にすばらしい(じつは『ガスト』は、2023年11月のメニュー改訂で、ご飯つきの定食と丼物は、大盛は無料で、ご飯少なめは20円引きになったので、今や〝神の領域〟に入ってきている)。
 
 同じ牛丼チェーンでも『すき家』は、全メニューに〝ごはんミニ〟の設定があって30~50円安くなる。
 居酒屋から業態転換「炭火焼干物食堂のファストフード」を標榜して東名阪に41店舗を展開する『しんぱち食堂』は、すべての定食に〝ご飯半割〟の設定があって並盛の50円引きだ。
 出されれば出されただけ食べてしまう私のような人間(←犬や猫と同じだ)にとって、これはありがたい。
 
『しんぱち食堂』のごはん〝半割〟
和田守弘 食い意地 編集者 脳内日記
写真はサーモンハラス干し。通常890円が50円引きの850円になった(価格は税抜)
 
 じつは腹具合なんて、その場の気分。ご飯少な目で注文できれば、出てきたものを平らげたら充分に満腹。こんなものだと思えば、ご飯少な目で満足してしまう。それで身体にも財布にも優しいとなったら言うことなしだ。

 なので私は、これらの店で注文するときは、いつもご飯は少な目を選ぶ。『ガスト』も『すき家』も『しんぱち食堂』も、オーダーはテーブルのタブレットなので、私の体型をジロリと見て、半笑いで「えぇ~大盛じゃないんですかぁ~」なんて余計なことを言う高齢の女性店員がいないのも、すばらしい。
 
 大盛無料もいいけれど、小盛割引を導入する飲食店が増えて欲しい。

執筆者プロフィール

和田守弘

雑誌編集者。
大手出版社でグルメ漫画、情報誌のグルメガイド、飲食トレンド分析記事などを担当した食い意地編集者。
独立後、制作会社を立ち上げ、飲食店紹介記事、コラムなどの執筆をしている。

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