韓国エンタメ

2025/08/17

【毎日がエンタメ】コラム #17 大統領暗殺から軍事クーデターまでを描いた映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』

毎日がエンタメ 大統領暗殺裁判 イ・ソンギュン

© 2024 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & PAPAS FILM & OSCAR10STUDIO. A

 
公開日:2025年8月22日(金)

公式HP

大統領暗殺裁判 16日間の真実

厄介な事件の裁判ばかり担当する弁護士チョン・インフ(チョ・ジョンソク)。
彼は、大統領暗殺事件に巻き込まれた中央部情報(KCIA)部長の随行秘書官であるパク・テジュ(イ・ソンギュン)の弁護を引き受けることに。
 
パク・テジュは軍人であるがために、ただ一人軍法裁判にかけられ、たった一度の判決で刑が確定してしまう。そんなパク・テジュのために、チョン・インフは公正な裁判を求めて戦うのだった。
だが、のちに軍事反乱を起こす合同捜査団長チョン・サンドゥ(ユ・ジェミョン)によって裁判は不正に操られていくー。
 
当時行われた実際の裁判でも、この裁判は何度も法廷にメモが届けられ「メモ裁判」と呼ばれるほど、不当なものだった。
また、パク・テジュのモデルとなったパク・フンジュ大佐の裁判は、被告人の中で唯一の軍人であったがために単審制が適用された。そのため、最初の公判からわずか16日後に最終判決が下されることとなり「性急裁判」とも呼ばれている。



*****
前大統領夫妻がほぼ同時に逮捕されるという前代未聞の状況の韓国。
良くも悪くもドラマチックな国だが、1979年にも大統領が側近に暗殺されたり、その後、軍事クーデターが起こるなど、信じがたい出来事が次々と起きていた。
本作は、その大統領の暗殺事件後の裁判の様子を描いている。
 
映画館に行く前に観ておきたいのが朴正熙大統領の暗殺事件を詳しく描いた『KCIA 南山の部長たち』だ。イ・ビョンホンが大統領を暗殺する役を演じているが、大統領をピストルで撃った直後の様子が生々しすぎて鳥肌が立つ。
 
もう1本は、新軍部による軍事クーデターを描いた『ソウルの春』。軍人の全斗煥(チョン・ドゥファン)氏がいかにして大統領の座を手に入れたのかが理解できる。

 
本作『大統領暗殺裁判』で描かれているのは、『南山の部長たち』で逮捕された人たちの裁判。
大統領暗殺裁判 エンタメコラム イラストエッセー
 
『南山の部長たち』のショッキングな部分はアッサリと描かれ、『ソウルの春』の緻密なまでの軍事クーデターはやや端折られた。
どちらも絡んでいるけど、それはそれ、これはこれ。あくまでも裁判が中心だ。
 
本作は『南山の部長たち』と『ソウルの春』の中間地点のようなポジションだが、裁判がメインなのでどうしても地味に感じられるのは仕方ない。韓国での観客動員数も…。
 
KCIA 南山の部長たち』(2019年)475万人
ソウルの春』(2023年)1,313万人
『大統領暗殺事件 16日間の真実』(2024年)71万人
 
先の2作品と比べ、興行も埋もれた感が否めないが、『ソウルの春』の裏にあった“知られざる歴史”には愕然とする。

 
それは置いといて、観ていてこっちが引くほど驚いたのが、ユ・ジェミョン演じる全斗煥(チョン・ドゥファン)氏だ。作品の中ではチョン・サンドゥ役となっている。

 
以前、当サイトでも触れた『ソウルの春』ではファン・ジョンミンが全斗煥役を演じていた。
エンタメコラム ソウルの春 ファン・ジョンミン

© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.

 
ファン・ジョンミンの場合は演技力がすべてだと思う。

 
だが、ユ・ジェミョンは演技力以前に顔のパーツそのものも似てる!
大統領暗殺事件 全斗煥 ユ・ジェミョン エンタメコラム

「アナタ、親族ですか?」ってぐらいソックリで、ちょっと集中できなくなったw

 

『大統領暗殺裁判 16日間の真実』<予告編
監督:チュ・チャンミン
脚本:チュ・チャンミン
出演:チョ・ジョンソク、イ・ソンギュン、ユ・ジェミョン
原題:행복의 나라(幸せの国)
2024年/韓国/124分
© 2024 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & PAPAS FILM & OSCAR10STUDIO. A
配給:ショウゲート
公式HP

執筆者プロフィール

児玉愛子(らぶこ)

           

韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。

画面上部に戻る