韓国エンタメ

2025/07/01

【毎日がエンタメ】コラム#16 伊藤博文を暗殺した安重根を描いた韓国映画『ハルビン』

公開日:2025年7月4日(金)

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ハルビン

ときは1908年。
アン・ジュングン(ヒョンビン)率いる独立軍は劣勢にもかかわらず、日本軍に勝利を収める。
 
ところが独立には程遠く、その後、多くの同志の命を失ってしまう。独立軍の中でも亀裂が生じていた。
 
1909年10月、日本の政治家である伊藤博文(リリー・フランキー)が大連からハルビンに向かうとの情報が流れる。
 
アン・ジュングは、祖国の独立を踏みにじる「年老いた狼」を抹殺することこを決意。
綿密に計画を立て、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)やキム・サンヒョン(チョ・ウジン)とともに大連行きの列車に乗る。
だが、この行動を日本軍に察知されてしまい―――。



*****
冒頭からいろいろな名前と顔が出てくる。しかも皆、帽子をかぶっていてヒゲを生やしている。
薄暗いシーンでは誰が誰だかサッパリ分からず、少し置いてきぼりになった気がした。
 
ヒョンビン 韓国映画 ハルビン イ・ドンウク 安重根
 
300億ウォン(約32億円)が投入された本作が韓国で公開されたのは去年の12月24日
 
損益分岐点は650万人といわれていたが、海外に販売されたことによって580万人に変更されたと韓国では報じられている。
ところが結果は491万人でストップ。目標をクリアできなかった。
 
韓国映画界が不況なので仕方ないのかもしれないが、それでも国民の“英雄”である安重根(アン・ジュングン)をテーマにした映画。
もう少し動員できてもよさそうなのに、イマイチ伸びなかった理由で1つ思い当たるとしたら、過去に韓国人女性が発した言葉だろうか。
 
2011年12月21日に公開された『マイウェイ 12,000キロの真実』が大コケしたときのこと。
大ヒット映画『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ監督と、チャン・ドンゴンが組んだ大作映画だった。
今では珍しくもないが、25億円もの制作費は当時にしては“韓国史上最高”といわれていた。
 
ヒット間違いなしかと思いきや、観客動員数はわずか214万人止まり。損益分岐点は1,300万人なのに。
「史実と違う」などの指摘もあったし、観れば駄作と分かる映画だったが、そもそも周囲の韓国人たちはほとんど観に行こうとしなかった。
 
映画館に行かなかった理由。それは韓国人女性が口にした言葉がすべてのように思う。
 
「クリスマスから正月にかけてのウキウキしている時期に、人が殺し合う映画を観たいと思いますか?」
 
返す言葉がなかった。
 
たしかにクリスマスの時期に『ハルビン』を観たいか?と問われたら、その答えは微妙かもしれない。
 

『ハルビン』<予告編
監督:ウ・ミンホ
脚本:キム・キョンチャン
出演:ヒョンビン、パク・ジョンミン、チョ・ウジン、チョン・ヨビン
原題:하얼빈
英題:HARBIN
2024年/韓国/114分/G
(c)2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
配給:KADOKAWA=KADOKAWA Kプラス
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執筆者プロフィール

児玉愛子(らぶこ)

           

韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。

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