海外エンタメ

2025/06/24

【毎日がエンタメ】コラム #15 映画『入国審査』

© 2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY AIE

 
公開日:2025年8月1日(金)

公式HP

入国審査

移住のために、スペインから米国ニューヨークの空港に降り立ったディエゴ(アルベルト・アンマン)とエレナ(ブルーナ・クッシ)。
 
2人は入国審査の列に並ぶが、長い確認の末、別フロアで二次審査を受けることになる。
 
連れて行かれた狭い部屋では、問答無用でスーツケースの中身を調べられ、エレナは糖尿病用のインスリン注射を没収される。続いて警察犬が現れ、まるで容疑者を相手にするような手荒な身体検査が行われる。
 
だが、それは審査の始まりに過ぎない。
 
威圧的な女性審査官(ローラ・ゴメス)が現れ、必要書類を細かく確認していく。
映画 入国審査 毎日がエンタメ

ディエゴの国籍はベネズエラ。
エレナがグリーンカードの抽選で移民ビザに当選し、ディエゴは落選。けれど事実婚のため、パートナービザを行使している。エレナあっての移住だ。
 
しかも、ディエゴは自称都市プランナーでも現在は無職、エレナはダンサーで講師として働いている。
審査官の質問でこうした2人の経歴が次々と明らかになっていく。
 
エレナは困惑するが、審査官は「新情報が入ったからすり合わせている」と挑発的に言い放つ。

 
そして容赦ない追及が始まるのだった──。
映画 入国審査 毎日がエンタメ



*****
私ら凡人が受ける入国審査といえば、せいぜい渡航目的と滞在日数、ホテル名を聞かれるぐらい。
人生初の海外旅行でも「サイトシーン(sightseeing=観光)」さえ言えればOK!ぐらいに思ってた。
 
ところが、本作に登場するカップルはそんなにお気楽ではない。移民ビザを持っての入国だ。
「アンタ、そこまで聞く?」ってぐらい、審査官は次々と“尋問”という名の矢を放つ。その答えによっては入国を拒否されるかもしれないのだ。
わずか77分という短い尺だが、観てるこっちが緊張した。
 
本作は65万ドルで制作された低予算映画で、撮影も17日間で終えたという。
それでも世界中の映画祭で最優秀作品賞や観客賞など数々の賞に輝いているので、「映画ってヤッパリ脚本よね!」とあらためて実感した。
 
気になるのはラストシーンで、この結末をどう考えたらいいのか。
評価が分かれること間違いなし。
ビビりまくっていたディエゴに「アンタ、この結果はどうなのよ?」と感想を聞いてみたい。

 

『入国審査』<予告編
監督:アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスチャン・バスケス
脚本:アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスチャン・バスケス
出演:アルベルト・アンマン、ブルーナ・クッシ、ローラ・ゴメス
原題:UPON ENTRY
2023年/スペイン/77分
© 2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY AIE
配給:松竹
公式HP

執筆者プロフィール

児玉愛子(らぶこ)

           

韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。

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