海外旅行

2024/08/07

《藤田久美子の旅エッセー》乗り降り自由。バルセロナの二階建て観光バスは、日本語音声ガイド付き。

藤田久美子 旅エッセー バルセロナ 海外旅行 ヨーロッパ
バルセロナの二階建てバスは、運営の違う青いバスと赤いバスがあって、青はバルセロナ市が運営。赤は民間企業。路線や料金はほぼ一緒。

 
 インバウンドに人気の築地やお台場を巡る東京の二階建て観光バス(料金は2000円前後)は、降りて観光できるシステムにはなっていないそうだけれど、ヨーロッパの都市を走る二階建てバス(1日券20€=現在は3,200円程度)は、そのほとんどが乗り降り自由だ。
 観光地ごとに停留所があり、降りて観光して、また同じルートを走るバスに乗ることができる。
 
 バルセロナの場合、サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・パトリョなどのガウディの建築、サッカースタジアムのカンプノウ(現在建て替え工事中)、デュア・リパの「Illusion」のMVが撮影されたオリンピックプールがあるモンジュイックの丘(マラソンで銀メダルの有森裕子が駆け上がったあそこ)、今となっては物議を醸しているコロンブスの像のある港などを巡る。
 2路線あって、時間内なら乗り換えも自由である。
 
 イヤホンガイドが各国語に対応していて、バルセロナには日本語ガイドが付いていた。
 ダブリン、エジンバラ、ローマでも日本語が選べたので、日本語ガイドが付いている都市は多いのではないかしら。

 
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グエル公園からサグラダ・ファミリアを臨む。グエル公園は、バスルートからは少々離れていて坂道を登らなければならないので注意!

 
 ガイドを聞きながら乗っているだけでも十分楽しいのだが、もちろん、降りますよね、サグラダ・ファミリアもグエル公園も。
 
 この2か所は、時間指定の予約チケットが必要だ。どちらもいろいろな国の言語が飛び交う大人気の場所なので、事前準備を怠りなく。
 サグラダ・ファミリアは、公式アプリが日本語を選べるし、建物のなかでVRを使った説明があって楽しい。



 他に、降りてよかったのはカサ・ミラ。現在も住宅として利用されているこの建物の1階と2階の一部がカフェになっている。
 昼時に食事をしたのだが、人も少なく、ガウディならではの曲線が美しい空間に身を置き、注文した料理はどれも日本人の口に合う味付けで、☆☆☆☆☆の食事と大満足。
 各国語の口コミを確認すると、空いていたのも料理のチョイスもだいぶラッキーだったようだ。

 
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カサ・ミラの音声ガイド付きのツアーは28€(=現在は約4,480円)。日本語も選択可。今回はツアーには参加していない。

 
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カフェの名前は「El Cafè de la Pedrera」。お茶だけでなく食事がおすすめと、私は思う。

 
 バスのルートでもうひとつ、行ってよかったのがジョアン・ミロ美術館だ。
 ミロは、ピカソとだいぶ仲良しだった画家で、バルセロナ市内でもたくさん見かけるCaixaBankの青い星のマークを描いた人である。青いのは、星ではなく人間で、貯金箱にコインを入れている図というのが定説らしいが(これは二階建てバスの音声ガイドが教えてくれた)、ミロの作品をたくさん見た後、あれは星と確信しているのはさて置き。
 
 美術館のロケーションは、オリンピックスタジアムがあるモンジュイックの丘の中腹で、繁華街からはだいぶ離れている。バルセロナの街が見渡せるテラスだけでも行く価値あり。

 
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ジョアン・ミロ美術館からバルセロナ市街を臨む。絵画だけでなく立体物もたくさん展示されている

 
 ミロ美術館の入場には、バルセロナ市内6つの美術館に入れる1年間有効のアートパスポート(38€=現在は約6,070円)を利用した。
 他に、ピカソ美術館、カタルーニャ美術館、バルセロナ現代美術館、バルセロナ現代文化センター、アントニ・タピエス美術館に入館できる。
 
 全部の美術館を一日で回るのは時間的に不可能。カタルーニャ美術館はじっくり見るには6時間が必要と、スペイン観光局のサイトに紹介されている。

 
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アートパスポートARTICKET BCNは、ネットのチケットサイトや観光局のほか、各美術館で直接購入することが可能。

 
 有効期限が切れる前に、果たして全部をクリアできるだろうか。残りはあとふたつである。

 

藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。

執筆者プロフィール

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