2025/11/30
《藤田久美子の旅エッセー》鬼滅と味噌と。日本文化、仏での現在地~ フランスの日本リスペクトにモヤる~<前編>
フランス滞在中、「どこから来たのか?」と尋ねられて「日本」と答えると、lovelyやbeautiful といった反応があった。
さらに「日本のどこから?」と質問されたり、「行ったことがある」「行く予定だ」「行ってみたい」などという言葉が返ってきた。上っ面な社交辞令だとしても、ちょっと嬉しい。
『ドラゴンボール』や『ONE PIECE(ワンピース)』のTシャツを着ている人はわりと頻繁に見かけたし、パリでは『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を宣伝するラッピングバスが走っていた。
漫画やアニメのファンがたくさんいるのはよくわかる。ありがたいことである。

パリの路線バス。メトロの駅ナカでも『鬼滅』のサインボードを見かけた。
エッフェル塔からメトロの駅を探して歩いていたら、「パリ日本文化会館」という立派な建物が目についた。
建物の公式サイトを見てみると、1980年代にミッテラン大統領と中曽根康弘首相が設立に動き、1997年に開館した6階建て。図書館やホールもあり、日本文化の展覧会、日本語講座、映画の上映や地方産品のイベントなどが開催されているようだ。

展示ホールでは、2026年1月24日まで「高畑勲展」を開催中。
日曜日だったため閉館しており、外からのぞいただけなのだが、1階のショップは100均か浅草の仲見世かという品揃え。
「なぜ、ちゃんとした漆器や磁器・陶器、絹製品を置かない?」という残念さだったにもかかわらず、Google Mapは★が4.4だし、フランス語で好意的なクチコミも掲載されている。
プラスチックや化繊のおみやげ品が“日本”と思われてしまうのは、私としては心外だ。

どこの観光地にもあるおみやげ店のようなラインナップ。九谷焼や西陣織の本物を置けばよいのに。
<後編につづく>
藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。
執筆者プロフィール
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