2024/04/10
ネコろんで読む英語コラム (2)英語耳への道のりは遠かった
コロナでリモートワークが当たり前になり、家にいる時間が増えたことでペットを飼う人も増えたらしい。
確かにペットは日々の暮らしに癒しを与えてくれる。あのモフモフしたおなかに顔を埋める至福の時間は何物にも代えがたい。どんなに疲れていても仕事が立て込んでいても、一瞬で全てを忘れさせてくれるのがペットという存在なのだ。
子供の頃からいつか猫を飼いたいと思っていた私は、長い年月を経てようやく8年前にその願いをかなえることができた。
メインクーンというアメリカはメイン州原産の猫で、名前をレオという。
レオナルド・ディカプリオのファンなのかとかウルトラマンレオから取ったのかとか言われたけれど、そのどちらでもない。漫画の神様、手塚治虫の名作「ジャングル大帝レオ」からいただいた。長毛種で首周りの毛がライオンっぽいのだ。
猫の名前といえば、学生時代にアメリカにホームステイした時のことを思い出す。ホストマザーが近所の野良猫を「キリ」と呼んで可愛がっていた。
家の周りや裏庭でその猫を見かけるたび「キリ、キリ」と話しかけ、嬉しそうにおやつをあげていた。
私はというと「キリって変な名前。英語っぽくないなぁ。このお母さん、独特なセンスしてはるわぁ」と不思議に思っていたものだった。
猫好きとしては猫と戯れる貴重な機会を逃すはずもなく、ホストマザーの真似をして「キリ、キリ」と手懐けようと頑張った。
だいぶ後になって、猫の名前は「キリ」ではなくkitty(猫ちゃん)と呼んでいただけだったとわかった時は、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃だった。
Kittyって、あのキティちゃんのキティやん!
そんな簡単な単語も聞き取れへんのかい!と、己のリスニング力のなさに泣きそうになった。
アメリカ英語ではTの発音は実は何種類もあって、kittyのように軽く発音するときはラリルレロっぽい音になるのだ。
Waterがワラみたいになるのと同じ法則で、このパターンはほかにも数えきれないくらいにある。
better ベラァ
party パァリィ
get up ゲラッ
知っていたらどうということのない発音ルールも、知らないとkittyすら聞き取れない事態に陥ってしまう。ホストマザーのネーミングセンスが変なのではなく、自分の耳が英語の音を聞けてなかっただけだった。
なんとも言えない苦い思いをした私は、英語を一から勉強し直そうと心に誓ったのだった。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
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