2026/03/04
【毎日がエンタメ】コラム #27 生きるためには仕方がない!? 韓国映画『しあわせな選択』
公開日:2026年3月6日(金)
しあわせな選択(原題:仕方ない)
製紙会社で25年もの間、堅実に働いてきたマンス(イ・ビョンホン)。
彼は郊外にある一軒家で、妻ミリ(ソン・イェジン)と2人の子ども、2匹の犬と理想的な生活を送っていた。
ところが、会社から突然解雇されて人生が一変。
就活にも失敗し、再就職が遠のき、人生も崩壊の一歩手前となる。
そこでマンスに衝撃のアイデアがひらめく。
「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」
*****
原作はドナルド・E・ウェストレイク単独編『斧』。
日韓では「解雇」のことを“クビを切る”というが、英語では“斧”と表現されるという。
かつて、韓国では解雇された人が第2の人生として「チキン店」を選ぶことが珍しくなかった。
「サムスン」のような大企業にいても40代後半でリストラされることはザラにある。そんなとき、開業しやすい「チキン店」が選ばれやすく、韓国ではこの流れを“起承転鶏”と呼んでいた。どんな人生を歩もうと、最終的に行き着くのは「チキン店」という悲哀に満ちた意味だ。
とはいえ、本作に登場するのは“紙”を愛する男たち。チキン店に転職するなどあり得ない。
特にボムモ(イ・ソンミン)は妻の唇の柔らかさを最高級の半紙に例えるほど紙を愛している。

カフェ経営を提案されても、ボムモは製紙会社以外に興味がなかった。
一方、製紙会社の班長をしているソンチュル(パク・ヒスン)を羨むマンス。

チキン店もカフェ経営も選ばなかったマンスだが、今の韓国ではどちらも飽和状態。開業から数年で廃業に追い込まれる店も多く、5年生存率は低いといわれている。
ところで本作だが、ジャンルはサスペンス・スリラーなんだけど、肝心なシーンが結構コメディー。
悲観的になってばかりもいられないのだ。
“仕方がない”から笑うしかない。
執筆者プロフィール
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児玉愛子(らぶこ)
韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。
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