2024/10/24
ネコろんで読む英語コラム (29)謎の「ネロリ、ワイワ~イ」って一体なに?
アメリカに初めてホームステイしたのは今から35年ほど前のことで、当時はインターネットもなければスマホもない時代。というか、まだ黒電話の時代だった。
今はスマホでちょちょいのちょいとググれば大抵のことが調べられる時代。でも1980年代はそんな便利なものなどなく、わからないことはどうにもならないまま時が過ぎてしまうのが常だった。
そして忘れたころに「そうだったのか!」と雷に打たれたように気が付くこともあったりする。
ホームステイ先では近所の子供がよく遊びに来ていて、その女の子のことをみんなが「ネロリ、ネロリ」と呼んでいた。
ネロリだなんて変な名前~と思っていたけれど、その時はさして気にもせずにスルーしていた。
今では幼児や小動物を見ると無条件に目頭が熱くなる私だが、若い頃は子供が苦手だった。話の要領は得ないし急に泣き出したり喚いたりするし、なんだか怖かった。だからその子と会話することもその子の話題に加わることもなかった。
その翌々年、本格的に留学した私は同じ名前の学生と知り合うことになる。そして気が付いた。ネロリは「Natalie」だったということに。
アメリカ英語でNatalieはナタリーではなくネロリになる。
正確にはNaの母音は[æ]で、appleのaと同じ「ア」と「エ」の中間音。
またtaのtは軽く発音されるせいでラリルレロっぽい音になる。水を意味するwaterがウォーターではなくワラみたいになるのと同じ理屈である。
私の耳にはネロリとしてインプットされてしまい、よもやそれがナタリーだとは結び付かなかった。
ホームステイ先でナタリーちゃんと仲良くなろうとしていれば何度も聞き返したり名前を書いてもらって確認したのだろうが、いかんせん子供が苦手だったせいで気付くのに2年近くもかかってしまった。
こういうことは英語学習者にとっては珍しいことではない。
飲食店に勤める人が外国からの観光客に「ワイワ~イ」と言われて何のことだろうと思ったらWhite Wineのことだった、なんて話もあるのだから。
え?いえいえ、別に自己弁護しているわけではないですよ。決してそんな意図はありません。
疑問に思ったらその時に聞くなりして解決したほうがいいですよ、というお話でした。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
あわせて読みたい
-
2024/04/10
その猫の名は。ホームステイで実感した“英語耳”への遠い道のり
-
2024/06/30
ギリシャ神話までさかのぼる“6月の花嫁”と『ヤヌスの鏡』
-
2024/03/19
18年間も大沢たかお、というか松尾スズキに騙された話―前編―
-
2024/05/05
今またNBA熱が再燃。しかし、ストックトンはもういない
-
2024/04/21
ジョン・ストックトンとユタ・ジャズの思い出
人気記事ランキング
-
2024/11/22
【毎日がエンタメ】台湾で血便事件<後編>
-
2024/8/6
【毎日がエンタメ】フランス旅行 (8)部屋に入れない事件
-
2024/3/22
タッカンマリは観光客が集まる人気店よりも隣のお店が美味しい!
-
2024/6/21
【毎日がエンタメ】フランス旅行 (3)チャレンジしますか?
-
2024/9/21
釜山の隠れた名店で食べるデジコギと“幻のキムチチゲ”
LINEで更新通知が届きます!