2024/05/29
ネコろんで読む英語コラム (9)イタリアの種馬
ボクシング映画の金字塔といえば、なんと言っても『ロッキー』ではないかと思う。
シルベスター・スタローンが脚本を手がけ自ら主演し大ヒットしたこの映画は、半世紀近く経った今でもテーマ曲があちこちでBGMとして使われている。
映画は観たことがなくてもテーマソングなら聞いたことがあるという若い人も多いのではないだろうか。
スタローン演じるイタリア貧民街出身のロッキー・バルボアのあだ名は「イタリアの種馬」。
思わず突っ込みたくなるような、なんだかえげつない呼び名だけれど原作では“Italian Stallion”。
おや?英語だと随分スマートな感じになるじゃないの(笑)。
Stallionとは種馬、雄馬のことで転じて「色男」「精力絶倫の男」という意味で口語で使われる。もっとも、リアルタイムで『ロッキー』を見ていたころは子供だったので、このあたりの意味はよくわからずスルーしていたけれど。
あれから数十年、久しぶりに『ロッキー』を観てふと気付いた。
このItalian Stallionって、思いっきり韻を踏んでいるではないか!
Ita-lianのlianとSta-llionのllionは同じ発音なのだ。綴りが違うのでつい「イタリアン」「スタリオン」と脳内ローマ字変換が起きてしまいがちだけど、実際の発音はどちらも同じ。あえてカナにするなら「リヤン」が近い。
そうか、そうだったのか・・・こんなところに言葉遊びがあったのか。ちなみにロッキーの恋人の名前はエイドリアンで、こちらのリアンはAdrianとRなのでまた違う。ややこしい。
映画を見ているときに、元の英語がわかると「おおっ」となるような小ネタは実はいっぱいある。
特に言葉(音)遊びに関しては字幕翻訳ではカバーしきれないので、気づくとなんだか得した気分になるのだ。
だからといってそういう小ネタばかり追っていると映画の内容が入ってこないという、本末転倒なことにもなりかねない。そのあたりがまた悩ましいところである。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
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