2024/08/17
《藤田久美子の旅エッセー》アイラ島ポートアスケイグ。船乗りといっしょに歌えばよかった、というお話

オーバンウィスキー蒸留所のゲストハウス。試飲できるほか、ここで蒸留されたウィスキー、ロゴ入りのグラスやTシャツやキャップなどが置いてあるショップが併設されている
ゲール語で『小さな港』を意味するオーバン(OBAN)は、スコットランド西側の海岸の港町だ。
シングル・モルト・ウィスキーの蒸留所ができて発展した街で、そこからフェリーで4時間、アイラ島のポート・アスケイグに着いたときは20時を回っていた。
アイラの道には、街灯が無い。たぶん、まったく無い。暗くなってから車で走るのはものすごく怖いし、ましてや歩いている人はいない。
港は山道と言って差し支えないような一本道につながっていて、フェリーからいっしょに降りた車の後に続いて走っているうちはよかったのだが、そのガイドがなくなってからは車のライト以外真っ暗ななか、Google Mapに従って走ると行き止まりに何度も案内され、途方に暮れた頃に予約したホテルの建物の裏手に辿り着いたのだった。
ホテルからは数日前に、「シェフが病気で本島の病院に入院してしまったので、朝食は出るが夕食は出せない」というメールが来ていて、だからと言ってレストランくらいあるよね、と思っていたら、それはだいぶ甘い考えだったことを翌日に知る。
ホテルからいちばん近いシーフードレストランまで車で20分。予約でいっぱいだと断られる。
この日は、ドライブインのようなタイプの、食事も一応出せないことはありませんよ的な場所で塩辛い謎の揚げ物で夕食にし、翌日はホテルで確認してちゃんとレストランを予約したのだった。

後に確認したところ、これはオニオンパコラというインドの料理。小麦粉の代わりに豆の粉を使った玉ねぎの天ぷらのようなもの
フェリーの着く港のすぐ近くにある小ぢんまりとしたホテルに併設されたレストランは、このホテルごと家族で経営していると推測される人員配置で、予約を受けてくれたのはおかあさん、オーダーを取りに来たのはその娘さんで、サラダとフレンチフライを運んできてくれた弟くんは小学校中学年くらいの年頃だった。シェフはこの子たちのおとうさんなのだろう。

弟くんが届けてくれたサラダ

シーフードプレート
レストランの奥にはバーがあって、アコーディオンの伴奏で野太い声が『アメリカン・パイ』を合唱している。
ナイスなシーフードプレートで夕食を終え、会計を済ませると、おかあさんが「バーで飲みながら歌っていかない?」と勧めてくれたのだが、断ってしまったことは今も後悔している。船乗りと飲みながら歌うのはきっと楽しかったと思うのだ。

バーは、写真右奥。入ってすらいない。船乗りってのは、きっとそうに違いないという私の想像
<次回はアイラの基礎知識編1>
藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。
執筆者プロフィール
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