2024/02/04
ある編集者のつぶやき #4 紫式部と福井県の関係を知っていますか?
今年の大河ドラマ『光る君へ』が面白い。
吉高由里子さん演じる紫式部の生涯を扱った作品だが、もはや巨匠の域に入ってきた大石静さんの脚本は、その生涯に不明な点の多い紫式部という人物の空白を自由な想像で埋めながら、しかし歴史考証を大きく外すことなく書かれている印象で、かつ毎回『源氏物語』へのオマージュを入れ込むという、非常に優れた作りになっている。
この大河が放送されると決まった時、最初に思ったのは、「越前国での紫式部の生活はどう描かれるのだろうか?」ということだった。
紫式部は中宮・彰子(大河ドラマでは見上愛さんが演じる)の女房であり、藤原道長の支援を受けて宮中で『源氏物語』を書いた人物として広く知られている。そのため生涯を京都で過ごしたと思う人も多いだろうが、実は越前国(現在の福井県の一部)で暮らしたことがある事実は、あまり知られていない印象だ。
現在の千代田区平河町に都道府県会館という建物があり、永田町駅改札に続くその建物の地下道の壁には47都道府県の観光PRポスターがズラリと貼り出されている。今年は京都府と並んで、福井県のポスターがこの『光る君へ』なのである。
大河ドラマ『光る君へ』(公式HP)
実はかなり以前から、武生(たけふ)という町(現・越前市)が「紫式部が暮らしたまち」をアピールしているが、その知名度は恐らく非常に低い。
ただ、北陸新幹線の延伸で「越前たけふ駅」という駅が開業するため、大河ドラマとの相乗効果で、街の知名度は上がるかもしれない。
さて私は式部が越前国に住んだというエピソードを、以前、司馬遼太郎『街道をゆく 第4巻 郡上・白川街道、堺・紀州街道ほか』を読んだときに知った。
この中に、「北国街道とその脇街道」という章があり、越前国の受領(ずりょう)となった父・藤原為時(岸谷五朗さんが演じている)が、奈良朝以降国府が置かれた武生(たけふ)に赴任するのに付き従って、紫式部が娘時代の約2年間住んだと書かれているのだ。
(#5に続く)
プロフィール
ある編集者
大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。
あわせて読みたい
-
2024/03/03
「ヤングアダルト小説」なのかどうかと考えた『海がきこえる』
-
2024/01/28
ある編集者のつぶやき #3 峰隆一郎の尋常でない想像力
-
2024/07/20
米の大手書店「バーンズ・アンド・ノーブル」の復活劇に学ぶ
-
2024/02/18
「犬の専門雑誌」と「猫の専門雑誌」、売れない理由と売れる理由
-
2024/02/08
ある編集者のつぶやき #5 紫式部の住んだ福井県で
人気記事ランキング
-
2024/11/30
“食のエンターテインメント!” チャドルクジョルバンを体験
-
2024/12/1
新月のパワーを味方につけつつも、水星の逆光には気をつけて!
-
2024/11/23
韓国に行ったら食べたい! “ミナリ”たっぷりのユッケビビンバ
-
2024/11/5
お一人様でも大丈夫! 私の中のNo.1カムジャタンはコレだ!
-
2024/5/18
《台湾みやげ》最近好評だった台湾土産と新定番(2)
LINEで更新通知が届きます!