写真・アート

2024/02/24

【ジェリー・ヤンの世界撮りっぷ】相性の悪かった“チュイルリーさん”の写真の中で一番のお気に入りは……

ライカM9を中古で購入して、ストリート写真を撮り始めて以来13年。
まだまだ課題が多いが、客観的に見て一つ分かったのは「被写体によって、条件が揃ってもなかなかいい作品でない場合がよくある」ということだ。
 
ルコさんと同じく人気で、古い歴史を持つチュイルリー公園は理論上納得できる写真がたくさん撮れるはずなのに、実は僕とどこか相性が悪い。人に見せてあげたいと思える写真が少ないのだ。
 
いくつかの定番の散歩ルートの中で、大体、チュイルリーさんは“シメ”だった。
最初のうちは、集中力が下がっているから“ダメ作”ばかりなのかもしれないと思った。
でも試しにチュイルリーさんを別のルートのスタートにしても、なかなかいい作品ができなかった。
 
こうした状況で、僕が他人に見せてあげたいと思う数少ない写真の中で一番好きなのは、鳩に餌を与えている老婦人だ。

フランス パリ チュイルリー公園 リュクサンブール公園 ジェリー・ヤン ライカ
©Jerry Yang
 
パリで鳩に餌をやるという行為、実はリスクがあるのよ。
 
虫が少ない冬に、鳩は普通に捨てられたバゲットも食べてしまうぐらい飢餓状態だ。
観光客が勝手にロマンチックだなと勘違いして、餌カンの蓋を外した瞬間、大量の鳩に攻撃されて秒殺されたことは、ないかもしれないが、心のトラウマになったケースは絶対に少なくないと思う。
 
だからこの老婦人が鳩たちと平和に共存してるのは、すごく不思議な風景。
鳩たちとの間にちゃんとスペースを取って、鳩たちが順番待ち(?)している様子は、小鳥に説教をする聖フランチェスコも感心するはず。
 
でも「特殊な訓練受けていますので」(と言うかもしれないね)、老婦人が。マネしないほうがいい。

プロフィール

Jerry Yang(ジェリー・ヤン)

フランス・パリを拠点とするベンチャーキャピタル投資会社「HCVC」のゼネラル・パートナー。
台湾の高雄で生まれ育ち、起業家として台湾からシリコンバレーへ。渡仏した後、ベンチャー投資を行う。
趣味で世界各地を旅行し、撮影した写真が「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたこともある。

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