2026/09/01
【いのちの舞台袖】Vol.1 舞台袖から伝えたいこと

ミュージカルや演劇を観ていると、ときどき舞台袖のことを考えます。
観客からは見えませんが、そこでは出演者やスタッフが次の場面に備え、舞台の進行を支えています。予定外のことが起きたとき、最初に対応する場所でもあります。
救急外来には、予定外のことが起きた人がやってきます。
突然の胸痛、経験したことのない頭痛、転倒、発熱、息苦しさ。多くの場合、私たち救急医はその患者さんと初対面です。持病や普段の様子が十分に分からないこともあります。
その限られた情報の中から、何を急ぐべきか、見逃してはいけない病気は何か、いま治療を始める必要があるかを判断します。
救急医の役割は、短時間ですべての診断を確定することではありません。診断がまだ定まらなくても、危険な状態を見極め、必要な初期治療を行い、入院や専門医の診療、あるいは自宅での療養へと安全につなぐ。それが救急医療の大切な仕事です。
連載名の“いのちの舞台袖”には、そんな救急医療のあり方を重ねました。
人生の中心にあるのは、病院ではなく、一人ひとりの日常です。救急医療は、予定外の出来事によってその日常が中断したとき、まず安全を確かめ、次の場面へつなぐ場所だと考えています。
この連載では、どのような症状に注意すべきか、いつ救急車を呼ぶべきか、受診までに何をすればよいかなど、救急医として一般の方に知っておいてほしいことをお伝えします。突然の病気やけがを完全に避けることはできません。しかし、あらかじめ知っていることで、より早く、より適切に行動できることがあります。
“いのちの舞台袖”から、日常を守るために役立つ知識を一つずつお届けしていきます。

執筆者プロフィール
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坂本壮
総合病院国保旭中央病院 救急救命科医長/ 臨床研修センター副センター長。
救急医として主に救急外来で働いているミュージカル好きのアラフィフ医です。もっとも影響を受けた作品は『レ・ミゼラブル』で、好きな漫画は『宇宙兄弟』。
著書は『救急外来ただいま診断中!』(中外医学社)ほか多数。医師や看護師、救急隊向けにも本や雑誌で執筆・編集しています。
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