2025/05/29
【毎日がエンタメ】コラム #12 香港映画『年少日記』
公開日:2025年6月6日(金)
年少日記
高校教師のチェン(ロー・ジャンイップ)が勤める学校で自殺をほのめかす遺書が見つかった。
「私はどうでもいい存在だ――」
それは幼少期の日記に綴られた言葉と同じだった。
彼は遺書を書いた生徒を捜索するうちに、閉じていた日記をめくりながら自身の幼少期の辛い記憶をよみがえらせていく。
それは、弁護士で厳格な父のもとで育った兄弟の記憶だった。
勉強もピアノも何ひとつできない兄と優秀な弟。
親の期待に応える弟とは違い、出来の悪い兄は家ではいつも叱られていた。しつけという体罰を受ける兄は、家族から疎外感を感じ…。
*****
正直、前回の『サブスタンス』が強烈すぎたので地味感は拭えないが、こちらのほうがはるかに共感できる、香港映画の『年少日記』。
決して派手な演出はないのに、物語は後半でガラリと違った色になる。
この展開はちょっと驚いた。
観終わったら自分に問いかけたくなる。
「なりたい大人になれたかな?」
問いかけたところで、そんなにドラマチックな人生でもなかったとあらためて思うんだけどw
今月、ソウルで「江南駅」前のビルから投身自殺しようとしている人を目撃した。
再生クリームを買おうと薬局に入ろうとしたのだが、まさにその薬局が入っているビルの屋上から人が飛び降りようとしていたのだ。規制線が張られ、薬局は閉鎖された。
飛び降りようとした人物は3時間半後に救助されたそうだ。
現場は大騒ぎで私たちにも衝撃的な出来事だったが、この様子は大きなニュースにはならなかった。
4日前にやはり江南地区のビルから飛び降りようとした少女が救助されており、そちらが大々的に報じられたからだ。
なんとなく「またか…」といった雰囲気で、韓国メディアにいる友人の反応も薄かった。
この温度差に一番驚いた。
執筆者プロフィール
児玉愛子(らぶこ)
韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。
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