海外旅行

2024/05/02

《藤田久美子の旅エッセー》船に乗ってレマン湖を渡り、フランスへevianを汲みに行く。

藤田久美子 ローザンヌ レマン湖 フランス evian 汲み放題
ローザンヌからレマン湖(英語名はジュネーブ湖)を臨む。湖の向こうはフランス。
 
 ダウンタウンの浜田雅功が、日本テレビ「ガキの使いやあらへんで」の罰ゲームでevianを汲みに行ったのは1993年だった。検索すると、ネット上に番組の動画が残っている。
 ご興味ある方、探してみてください。
 
 スイス・ローザンヌのレマン湖の対岸は、フランス・エヴィアン=レ=バンÉvian-les-Bainsという保養地だ。les bainsは、湧き出る泉の意。ローマ時代から天然水が湧く地として知られる街であり、世界中で飲まれるナチュラルミネラルウォーターevianの採水地である。
 
 ローザンヌまで来たからには、evianを汲みに行かなくては。
 この記事では、地名をエヴィアン、そこに湧き出るミネラルウォーターをevianと表記する。
 
藤田久美子 ローザンヌ レマン湖 ジュネーブ湖 フランス evian
街中にはいくつもの取水口があり、自由に水を汲むことができる。
 
 ここでおさらいしておきたいのは、ヨーロッパの地理である。
 
 ハイジの住むアルプスはスイスだが、アルプス山脈は、東はオーストリアから、スロベニア、ドイツ、リヒテンシュタイン、イタリア各国にまたがっており、西端はフランスだ。
 ガキ使の動画を確認すると、エールフランスでパリに入った浜田は、evianの水源のあるフレンチアルプスに登って滝で水を汲み、その後エヴィアンの街中の井戸でもう一度ボトルに汲みなおしている。



 evianは、氷河期に形成されたアルプスの地層を通って、水源地から15年かけてエヴィアンの街まで辿り着く間に豊富なミネラルを蓄えると、evianの公式サイトに説明がある。
 18世紀、フランス革命の動乱からこの地へ逃れた公爵が泉の水を飲むことで腎臓結石が治ったという評判がヨーロッパ中に伝わり、貴族や文化人に愛される温泉リゾート地として発展したのだそうだ。
 
 現在も鉱泉を利用したマッサージ、ジャグジーなどのスパ施設が充実しており、医者の処方による飲泉治療も行われている。
 
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エヴィアンの落ち着いた静かな街並み。18世紀後半から19世紀にかけて造られた美しい建造物も必見。
 
 レマン湖はアルプスの氷河の水を湛えた湖で、スイスとフランスの国境が湖のなかにある。スイスはEUには加盟していないが、シェンゲン協定により、入管の手続きなく、ローザンヌとエヴィアンは行き来ができる。
 
 ローザンヌの地下鉄南端のターミナルであるウシー⁼オリンピック駅は、オリンピックミュージアムの最寄り駅だ。駅から徒歩5分ほどのウシー桟橋からエヴィアンまではフェリーで約40分。世界遺産の葡萄畑とフレンチアルプスを眺めながらの船旅も楽しもう。
 
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フェリーは往復で約40スイスフラン。2024年4月末時点で1スイスフラン≒170円。
 

藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。

執筆者プロフィール

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