2025/09/06
《藤田久美子の旅エッセー》トルコでワインが高い理由<その2> イスタンブールのワインが何故高いのか調べてみた

いかにも高そうな雰囲気のバーのテラス席。
<前回からの続き>
ちょっと高いであろうことは覚悟のうえで、イスタンブールの観光客しか入らないバーのテラス席に座ったのだが、その料金設定は想定外だった。
地元の人たちが日常的に行く食堂の値段と比べてはいけないにしても、1食200円~300円で食事ができるのに、ビールはその倍以上。ワインのいちばん高いグラスは1杯3千円近くする。
日本の良心的な定食屋さんでお昼が800円で食べられるとして、ビール1,500円はぼったくりでしょう。という感じだろうか。グラスワインは8千円くらいの感覚だ。
トルコがイスラム教の国であることは承知していたので、お酒は高いだろうと思っていたが、それにしてもワインの値段の高さは突出している。ビールを1杯ずつ飲んでホテルに戻り、どうしてワインが特別高い値段なのか、Googleさんに質問してみた。
イスラム教の聖典、コーランはアルコールの摂取を禁じている。何故なら戦闘員が酔って戦えなくなったら困るから。
ムスリムの、天国にあたる場所でふるまわれる酒は、いくら飲んでも酩酊しないのだそうだ。つまり、悪いのは酔っ払うことなのだろう。
コーランが編まれた時代の西暦600年前後のアルコールはすべて醸造酒、つまりワインやビールで、そのなかでも、よりアルコール度数の高いワインがいちばん悪い酒だった。
蒸溜酒はまだ生まれておらず、ワインよりもっと度数が高いウィスキーもウォッカもジンもこの世に存在していない。故に、その時点で蒸溜酒は取り締まりの対象としてカウントされていなかったということらしい。現在は、もちろん蒸溜酒も規制の対象だ。
ワインの醸造が始まったのは紀元前6000年頃のジョージア(かつてのソビエト連邦、グルジア共和国)だと言われている。ヨーロッパとアジアの境界に位置するトルコの隣国だ。
トルコでワインが造られるようになったのは、イスラム教が生まれるより遥か昔の紀元前4000年とされ、トルコ国内でワインが広く飲まれたことを記す紀元前の文献も残っているそうだ。

写真左:カッパドキアで醸造されているトルコで最もポピュラーなワイン。写真右:グラスワイン2杯とちょっとの値段だったので、レストランで奮発したボトル。
イスラム教が広まってからも、観光客向けのレストランではワインもビールも飲むことができるし、現在もトルコ国内でワインの醸造は続けられているが、イスラムの戒律を重んじるエルドアン大統領の政権下になってから、ワインには50%ほどの酒税が課せられている。
以上のような理由で、トルコのワインは他のアルコール類に比べて高い傾向にある。

ケバブセット1人前は3千円ほど。地元の人向け食堂の10倍です。
その後、本場のケバブを食べるために入った観光客向けレストランでは、前日のバーほどワインは高くなく、トルコ産ワインは十分美味でありました。
藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。
執筆者プロフィール
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