コラム

2024/05/05

ある編集者のつぶやき #18 NBA熱が再燃。しかし、ストックトンはもういない

#17から続く)
その後、紆余曲折あって私はバスケを辞めたが、ストックトンの熱烈なファンであることだけは変わらなかった。
そして1996-97シーズン、ユタ・ジャズは初めてNBAファイナルに進出し、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズと激突した。
 
私は浪人生だった。予備校の友達にすごく親切な奴がいて、ファイナルを1試合ずつビデオ録画して、結果を知らせずに毎日のように渡してくれた。
 
96-97シーズンは限りなく優勝に近づいた年だったが、結果は2-4(NBAファイナルは最大7戦で、先に4勝した方が優勝する)で敗退。
そして翌1997-98シーズン、2年連続でファイナルに進出したジャズは、シカゴ・ブルズと再び相まみえた。
 
私は上京して大学生になっていた。一人暮らしの安下宿にはもちろんBSアンテナは立っておらず、実家暮らしの友達に頼み込んで全試合を録画してもらった。
しかし前年のような接戦の試合は少なく、力の差を見せつけられて2-4で敗退した。シカゴ・ブルズは二度目のスリーピート(3連覇)を果たし、私のNBA熱はそこで急速に冷めてしまった。
 
ストックトンは2003年、私が就職した年に引退した。
通算アシスト数15,806、通算スティール数3,265、リーグ最多アシスト数連続年数9。この3つの記録は、プレースタイルが90年代とはまるで変わってしまった現在のNBAでは、絶対更新不可能と言われている。



渡邊雄太、八村塁の2人の日本人プレイヤーの活躍によっていま、私の中で再びNBA熱が復活している。
NBAは2017年に楽天株式会社が日本での独占放映権を取得し、現在はRakuten NBAというサイトまたはアプリで観ることができる。
現代バスケは技術も格段に上がり、高度に戦術的で、見どころが多く楽しい。
 
しかしストックトンを超えるPG(現代バスケではこのポジション名も、ほぼ意味を為さなくなっているが)は二度と出てこないし出てきて欲しくない、そして彼の記録を絶対に他の選手に塗り替えられて欲しくもない――
心の底では、そんな風に半ば祈るような気持ちで観戦している。
(この項終わり)

プロフィール

ある編集者

大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。

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