コラム

2025/09/23

ネコろんで読む英語コラム (51)ポリコレに揺れる現代

近年やたらと著名人の発言が炎上するようになった。
タレントの場合は下手をすると一発退場。二度と表舞台に戻ってこれなかったりすることもある。
 
口は災いの元とはよく言ったものだ。書きながらふと気づいたのだが、炎上の「炎」と「災い」という字は似ている。どちらも火がつくと命取りということか。
 
こういった炎上案件の根底にあるのが「ポリコレ」である。
ポリコレとはpolitical correctnessのことで、直訳すると政治的な正しさ。
 
心の中でどう思うかは自由だが公的な場で口にしてはいけない基準というものがあり、人種や宗教、性別、容姿などに関わる差別的な表現や偏見を指すことが多い。
 
ポリティカルコレクトネスだと長すぎるので略してポリコレと言われるようになったのだろう。ちなみに英語では略して“pc”と言うが、パソコンのこともpcと言うのでまぎらわしい。

明場由美子 ネコろんで読む英語コラム ポリコレ

アメリカではすでに80年代からポリコレの概念があった。



たとえば女性に対して「彼氏いるの?」と聞くのは二重の意味でNG!
プライベートを詮索するような質問だからというだけでなく、“彼氏”といっている時点で相手が異性愛者であると決めつけているからダメ。世の中10~12人に1人は非異性愛者なのに、そういったマイノリティを無視した発言は政治的に正しくないとされる。
 
かつてオバマ元大統領は、旧知の仲であるカマラ・ハリスのことを「アメリカでもっとも美人な裁判官」だとうっかり口を滑らせてしまい大バッシングにあった。
裁判官のキャリアと容姿は関係がないし、これが男性だったら「もっともハンサムな裁判官」とはいわないだろう。
危うく大炎上するところだったが、賢明なオバマさんはすぐさま自身の迂闊な発言を謝罪して火だるまになるのを免れた。
 
いまだに「美人すぎる〇〇」とかメディアが騒いでいる日本を見ていると、まだまだ甘いような気もする私なのだった。

執筆者プロフィール

Yumi

English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。

画面上部に戻る