2024/05/22
ネコろんで読む英語コラム (8)まぎらわしい単語
どうしても覚えられない単語というのがある。
それは、「おざなり」と「なおざり」。
この二つの違いがいつもわからなくて辞書を引いて調べるのだけど、なるほどなぁと思っても次に使おうとした時にまた忘れていて辞書を引く、というのを繰り返している。
そもそもこの二つは意味自体が似ていて、「おざなり」はいい加減な対応をすることで「なおざり」はもっといい加減、ほぼ放置状態のことを意味する。
どちらも適当にほっておくということに違いはなく、なおざりの方がその程度が酷いというだけなのだ。
こんなまぎらわしい表現、いったい誰がいつ言い始めたのだろうか。もっと明らかに音も字面も違えば混同することはないだろうに。
ただ面白いことに、こういうのは日本語に限らずどの言語でもあるようで、英語も例外ではない。
ネイティブでも時々混同してしまうのが、sensibleとsensitiveという単語。
どちらもsenseと関係しており、『シックス・センス(第六感)』という映画のタイトルにもあるように「感覚」「認識力」「判断力」という意味の名詞である。
ここから派生してsensibleの方はまともな感覚、判断力があるという意味になる。つまり、分別があるとか思慮深いといった意味。
対してsensitiveは感覚や認識力が敏感である、つまり感性が豊かで傷つきやすい、繊細な、という意味になる。
こう聞くと「ふむふむ、そんなに難しくないよね」と思うかもしれないが、先ほどの「おざなり」「なおざり」問題を思い出してほしい。どちらも適当に放っておくという意味だった。
Sensibleとsensitiveもどちらもsenseに関連しているが、使い方が微妙に違うところがくせもの。
あの人はまともな人だ(分別がある)と言いたいのにHe is a sensitive personとやってしまい、ナイーブな人だと誤解を与えてしまいかねない。実際、ネイティブの人がたまに間違って使っているのを見かける。
ちなみに昨今話題のHSPはHighly Sensitive Personの略で、人の言葉や態度に過剰に反応したり、大きな音や強い光が苦手な超繊細な人を指す言葉として最近ネット界隈でよく見かける。
これがHighly Sensible Personだとめっちゃ分別臭い堅物になって随分と意味が変わってしまうなぁなんて、ついしょうもないことを考えてしまうのは私の悪い癖かもしれない。
執筆者プロフィール
Yumi
English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。
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