海外旅行

2024/10/05

《藤田久美子の旅エッセー》ジョニーウォーカーの原酒のひとつ。アイラ島トップの生産量を誇るカリラ蒸溜所

藤田久美子 海外エッセー ウィスキーの島 アイラ 蒸留所 カリラ
カリラのサインボードには、ジョニーウォーカーのマークが刻まれている
 
前回からの続き>
 
 昭和のおとうさんたちの憧れのウィスキーの代表“ジョニ黒”ことジョニーウォーカー ブラックラベルは、ブレンデッド・ウィスキーである。この蒸溜所巡りのシリーズで紹介しているのは、いずれもシングル・モルト・ウィスキー・ディストラリーだ。
 
 サントリーで言うと、『山崎』や『白州』はシングル・モルト。『角』や『オールド』はブレンデッド。
 フランスの老舗出版社が発行している歴史と伝統ある百科事典の酒バージョン『ラルース酒事典』によれば、「乾燥した麦芽(モルト)を糖化して発酵させたものを蒸溜器(ポット・スチル)で2度蒸溜したアルコール」がモルト・ウィスキーである。



 モルト・ウィスキーとグレーン・ウィスキーをブレンドしたものがブレンデッド・ウィスキーで、グレーン・ウィスキーは「穀類(オート麦、ライ麦、とうもろこし)を発酵させて連続蒸溜器(コフィー・スチルまたはパテント・スチル)で蒸溜して造られるアルコール」のこと。
 モルト・ウィスキーのうち、ひとつの蒸溜所のモルト・ウィスキーのみをボトルに入れたものがシングル・モルト・ウィスキーだ。
※『ラルース酒事典』柴田書店刊の表記に従って、この回から蒸留の留の字を、サンズイの付いた蒸溜に改める。

 
藤田久美子 海外エッセー ウィスキーの島 アイラ 蒸留所 カリラ
カリラ蒸溜所のモルト・ウィスキー生産量はアイラ島トップ
 
 カリラは、ジョニーウォーカーのブレンドに使われるモルト・ウィスキーを生産している蒸溜所である。
 シングル・モルトとしてのリリースは少ないが、ウィスキー人気の高まりを受けてその比率は高くなってきており、2022年9月には新しいビジター・センターがオープンした。ショップには、カリラとジョニーウォーカーのブランドグッズも多数揃っている。
 
藤田久美子 海外エッセー ウィスキーの島 アイラ 蒸留所 カリラ
カリラのみならず他の地域の他のブランドのボトルも並んでいる。これは蒸溜所併設のショップとしては珍しいパターン。ここ1か所でいろいろなウィスキーを買うことができる
 
 ゲール語でアイラ海峡という意味の、カリラ(Caol Ila)という名前の通り、アイラ島とジュラ島を隔てる海峡に面したビジターセンターからは、海の向こうにジュラ島の山々を臨むことができる。この場所は、島内の社交の場として島民にも活用されているそうだ。
 
藤田久美子 海外エッセー ウィスキーの島 アイラ 蒸留所 カリラ
この景色を眺められる場所がテイスティングスペースになっている
 
つづく
 

藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。

執筆者プロフィール

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