2024/02/17
《藤田久美子の旅エッセー》フェルメールの代表作、「真珠の耳飾りの少女」に会いにハーグへ。マウリッツハイス美術館
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」マウリッツハイス美術館蔵
オランダ、アムステルダムのスキポール空港から、のどかな田園風景や遠くの風車を眺めつつ電車で30分。国際司法裁判所のある街、ハーグにその美術館はある。
オランダ総督の家系であるマウリッツ家の邸宅を、オランダの初代国王ウィレムⅠ世が、自身のコレクションを中心に1822年に王立美術館として公開したことが起源となっている美術館だ。
規模はそれほど大きなものではないが、オランダの至宝、フェルメール、レンブラント、ルーベンスを見ることができ、ゴッホがこの美術館を訪れた記録も残っている。フェルメールは、件の少女の他に、プルーストの小説「失われた時を求めて」にモチーフとして登場する「デルフトの眺望」と、初期の作品「ディアナとニンフたち」の3点、レンブラントは「デュルプ博士の解剖学講義」や自画像など4点、ルーベンスは「エデンの園」など4点を所蔵している。
マウリッツハイス美術館エントランス
エントランスの「真珠の耳飾りの少女」の拡大画像は、3Dプリンタによって絵画の凹凸までもが再現されており、触れることも可能だ。
ウィレム・ファン・ハーヒト「カンパスぺを描くアペレス」マウリッツハイス美術館蔵
他に、フランドル派の精緻な油彩画が多く展示されており、写真の「カンパスぺを描くアペレス」だけでも1時間見ても見飽きない。
美術館オリジナルのアプリをダウンロードしておけば、全作品の英語の説明を読むことができるし、一部の作品は日本語音声での解説も聞けるので、イヤホンもお忘れなく。その解説によれば、この絵の中の絵画コレクションは同じ部屋にはあり得ないが、すべて実際に存在する絵の模写だそうだ。
ちなみにカンパスペはアレクサンダー大王の寵姫で、アペレスが描いた肖像画があまりにも素晴らしく、肖像画を気に入ったアレクサンダーは、アペレスにカンパスペを下賜したという。
美術館に併設されているブラッセリーは、オランダの植民地だったインドネシアの料理や、オランダの郷土料理が美味。ゆったりしたスケジュールを組んで訪問することをおすすめする。
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藤田久美子
ライター・エディター・トランスレーター。トレンド誌、ビジネス誌の執筆、編集のほか、IT系を中心に翻訳者として活動。著書に「大事なことはみんなリクルートから教わった」(共著・ソフトバンク文庫)、「松本隆のことばの力」(集英社インターナショナル新書)など。
執筆者プロフィール
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