写真・アート

2024/04/06

【ジェリー・ヤンの世界撮りっぷ】キャバクラの発祥地でもあるモンマルトルは人気の観光スポット

初めてパリに来た日本人の友だちに一日だけ付き合うとしたら、大体モンマルトルに連れて行く。
 
モンマルトルの建物と雰囲気はパリとは違っていて、パリの中にありながらパリとは別空間。まるで違う街のような存在で、僕は個人的にもよく写真を撮りに行くんだ。
 
ジェリー・ヤン 世界撮りっぷ フランス パリ モンマルトル ムーラン・ルージュ キャバクラ
©Jerry Yang

 
そして日本人の友だちには特にキャバクラの発祥地を紹介したい。
 
19世紀後半、モンマルトルの中と周辺に「ムーラン・ルージュ」と「オ・ラパン・アジル」を含め、有名な“キャバレー”という酒処がたくさんあった。
 
日本語のウィキペディアの冒頭で「ダンスやコメディショーなど、パフォーマンスをする舞台のあるレストランやナイトクラブのこと」と淡々と説明していたけど、もちろんこれだけだったら、後の日本の「ギャバクラ」にはならなかったね。
 
酒を飲むために来たお客さんに提供していたコメディやパフォーマンスの内容は、“エロい”あるいは“猥褻”な内容が少なくなかった。ダンスなら刺激的なカンカンが一番有名。
 
「立ち返ったようなロングスカート、ペチコート、黒ストッキング等の衣装を着用した、女性ダンサーのコーラスラインを上演する」そして「スカートを捲り上げて巧みに操る、その挑発的かつ刺激的な体の動き」とウィキペディアでは説明している。
 
ダンスが終わったら、客さんがお金を支払って有名なダンサーを指名し、席に来てくれた彼女と一緒に飲むのも楽しみの一つ。もちろん、その夜どうなったのかはご想像に任せる。
 
これが戦後の日本の「キャバクラ」の由来だ。
 
戦後、フランス人哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワールが先駆けとなり、現代のフェミニズムがヨーロッパに生まれた。
面白いのは、その発祥地ともいえるパリで「ムーラン・ルージュ」が観光スポットになったこと。そしてカンカンもパフォーマンスとして今でも観光客に大人気。もちろんダンサーを指名して一緒に飲むのはもうなくなった。
 
そういえば、去年はセクシャルパフォーマンスショーで有名な「クレイジー・ホース」にBLACKPINKのリサが出演した。「LVMH」御曹司と交際中というけど、ある意味、リサは「LVMH」の坊っちゃんに“指名”されたといえるかもしれないね。
 
もちろんいい意味で。お二人の幸せを祈っている。
 
ジェリー・ヤン 世界撮りっぷ フランス パリ モンマルトル ムーラン・ルージュ
©Jerry Yang

プロフィール

Jerry Yang(ジェリー・ヤン)

フランス・パリを拠点とするベンチャーキャピタル投資会社「HCVC」のゼネラル・パートナー。
台湾の高雄で生まれ育ち、起業家として台湾からシリコンバレーへ。渡仏した後、ベンチャー投資を行う。
趣味で世界各地を旅行し、撮影した写真が「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたこともある。

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