観劇

2024/09/26

ある編集者のつぶやき #35 劇団四季ミュージカル『ゴースト&レディ』に号泣

5月に劇団四季のミュージカル『ゴースト&レディ』を観てきた。
 
これが、ただ素晴らしいだけじゃない。オリジナル作品の枠を超えて、世界に羽ばたけるポテンシャルを秘めた日本発のエンタテインメントだと強く感じた。
僕が観た回では、カーテンコールはなんと8回! 
それは役者と演出の努力への惜しみない称賛であり、観客の満足度を物語っていたと思う。
 
原作は藤田和日郎先生の『黒博物館 ゴーストアンドレディ』(モーニングコミックス 上下巻)。
観劇後に読んだが、彼の代表作である少年マンガ『うしおととら』を完全に踏襲したバディものだった(相方のバケモノ=ゴーストがいつかお前を殺すと言いながら、誰よりも絆を深めて最強の敵を倒す物語)。
 
藤田先生の原作ではロンドンにある「黒博物館」に展示された「かち合い弾」をきっかけに、ナイチンゲールとゴーストの物語が語られるという設定。
しかし舞台では黒博物館もかち合い弾の話も省かれ、フローレンス・ナイチンゲールの生涯にスポットライトが当てられていた。
 
おかげで舞台を通して、また、プログラムの寄稿によって彼女の人生を初めて詳細に知ることができた。こんなにも力強く気高く生きた女性が実在したこと、そして物語の上ではゴーストとの触れられぬが故の純愛と絆に、本当に胸を打たれた。



それにしても、開幕直後はまだチケットが取りやすかったのに、最近では千穐楽までのチケットがほぼ完売しているという。
RYUさんによれば、口コミで評判が広がり、どんどんチケットが売れていったらしい。
 
ちなみに僕は感激屋で涙もろいので、観劇中も号泣してしまった。
友人たちにもしつこく勧めまくったのだが「お前はすぐ泣くからなあ」と半ば信用されていなかったのが少し悔しい。否定はできないのだけれど(笑)。
 
そしてやっぱり口コミは強い。口コミこそが作品の良さを広め、人気に火をつける一番の要因だ。
『ゴースト&レディ』はその理想的な形で広がっていった。作品が広まる一助となったと思えば、涙もろさも悪くはない。
 

プロフィール

ある編集者

大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。

画面上部に戻る