2026/01/16
【毎日がエンタメ】コラム #25 ただただ、身につまされる…韓国映画『ただ、やるべきことを』

公開日:2026年1月17日(土)
ただ、やるべきことを
2016年、韓国の造船業界は深刻な不況に陥っていた。
漢陽重工業入社4年目のカン・ジュニ(チャン・ソンボム)は人事チームに異動。
それと同時に、150人を解雇するためリストラの名簿を作成するように指示を受ける。
気乗りしないジュニだったが、上司のチョン部長(キム・ドヨン)からは「会社を救うためのやむを得ない措置だ」と諭される。
こうしてジュニと人事チームの社員たちは解雇対象者を選定することになった。
だが作業が進むにつれ、リストラ当事者たちからは反発を受け、ジュニは自分のしていることに悩むように。
さらに、会社の都合で解雇対象者が絞り込まれていき、尊敬する先輩と親しい友人、そのどちらを解雇するかを選ばなければならない状況に追い込まれていく――。
*****
本作で描かれているのは今より10年前の大不況時代。
韓国の造船業界がとてつもない大不況に見舞われたことは日本でも報じられていた。
実際、中小の造船会社は倒産していき、大手も人員を大幅に減らすなどして不況を乗り越えようとしていた。
本作はリストラする側の「人事チーム」の視点に立っている。
リストラされる従業員と、リストラする側の人事チーム。
同じ会社の社員でありながら、まるで敵同士のようだ。
人員整理(リストラ)協議のための従業員代表の選出にも人事チームは神経を尖らせる。

なんとか懐柔できる従業員が代表に選出されるよう、画策する人事チーム。
とても同じ会社の従業員同士とは思えない。
解雇されそうな従業員が人事チームにいう。
「自分たちは一体なにを頑張ったというんだ!」
ちなみに、このあたりややこしいのが名前だ。
ジュニの元上司はチャン部長。今の上司はチョン部長。
普通にキム部長とパク部長だったらよかったのに、チャン部長とチョン部長とでは「どっちがどっちだよ?」となる。
いずれにしても、本作に登場するジュニたちの苦労の甲斐あってか、ようやく長いトンネルを抜けた韓国造船業界。いまや「進撃のK-造船」という見出しまでつけられるほど好景気に沸いている。
本作の中では造船業界にいることを心配されるジュニだったが、今、サムスン重工業やHD現代重工業に就職できたなら、親族の間では“掃溜めに鶴”のごとく持ち上げられるに違いない。
執筆者プロフィール
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児玉愛子(らぶこ)
韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。
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