日本エンタメ

2025/10/05

【毎日がエンタメ】コラム #19 これは実話かフィクションか? 人気グループのメンバーで俳優のRが叩かれ続けたワケ <前編>

女優Sと人気ボーイズグループのメンバーで俳優のRとの間に第1子が誕生した。9月26日の報告の直後、Sの父親で俳優のMがコメントを発表した。
 
一部メディアが数ヶ月に渡って報じてきた「MとRの不仲説」がいかにデタラメな内容であったかが明らかになった瞬間だった。
 
私は仕事柄、日頃からメディアの方たちと親しくしている。
一方で、芸能事務所にも友だちがいる。
この件については双方の事情を理解していた(つもり)。なので、ここでは私が見てきた“事実”を書いておきたい。

 
今年4月、Rの過去の女性トラブルが「週刊文春」で報じられた。
この報道はファンと、そうでない人たちから注目を集め、当初の予想をはるかに超えるPV(閲覧回数)を記録したようだ。
やがて他媒体の後追い取材もスタート。Rが女優のSと交際しており、結婚する予定であることも報じられた。
そこでSの父親で俳優のMも直撃取材を受けたのだ。
 
Mは取材に対し、「何も聞いていないのでね」と答えた。
 
エンタメコラム 週刊誌 スキャンダル
 
Mは本当に何も知らなかったのだろうか?
Rの女性トラブルを報道で初めて知ったのだろうか?
 
そんなことはない。あるはずがないのだ。
すでにRはすべてを打ち明けており、当然、Mも彼の過去のトラブルを知っていたのだから。



じゃあ、Mはなぜ「聞いていない」と答えたのか?
ごく当然の回答をしたまでだ。
 
言うまでもなく、芸能人が週刊誌の記者から直撃取材を受けたとき、ダンマリを貫く人が多い。そんなことは取材する側だって百も承知。何かコメントしようものなら、半ば認めたことになりかねないからだ。
スクープ誌の記者もカメラマンもそれを前提に取材している。
 
だが、温厚なMは取材に来た記者を手ぶらで帰すことなく、「聞いていない」と知らないフリをした。
 
この一言には周囲への配慮が感じられる。
そもそも当の本人たちが正式に何も発表していないのに、ペラペラ話す親がいるだろうか?
 
しかもRは俳優業と人気グループの一員として2つの事務所と契約しており、娘のSは別の大手事務所に所属。いくらSの父親とはいえ、コメントを発表するのなら、各事務所とタイミングを調整する必要がある。
だから詳しいことは話せないけど、待っていた記者に一言コメントしただけのこと。
 
これも週刊誌の記者なら承知していたと思われる。
たとえ知っていても、芸能人が「知らぬ存ぜぬ」を貫くのは珍しいことではないのだから。
 
ところが、一部メディアはこの「聞いていない」発言を強調した。
Mは「何も聞かされていなかったかわいそうな父親」となり、溺愛する娘がろくでもない男(←Rのこと)と交際し、動揺しているかのように報じたのだ。
 
以来、Mには同情の声が集まり、娘の交際相手Rとの「不仲説」が事実であるかのように独り歩きし始めた。
 
そしてRは、Sとの結婚発表後も「最悪の娘婿」として叩かれることに。
 
気づけば、まったく事実でない報道によってフルボッコにされることになり、Rには悪いけど、もう笑うしかなかった。
もはやフィクションと化したこの報道は、たちの悪いコメディーのような展開になりつつあった。
 
<後編へ>

執筆者プロフィール

児玉愛子(らぶこ)

           

韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。

画面上部に戻る