2024/10/16
ある編集者のつぶやき #37 【人生で一番笑ったエッセイ】「経済学部への期待」の思いちがい
僕が人生で一番笑ったエッセイは、遠藤周作が記した慶應大学経済学部入学試験でのある答案の話だ。
試験会場の黒板に書かれた小論文のお題は「経済学部への期待」。
ところが、受験生の大半が経済学への熱い思いを綴る中、一人だけ異様な答案を提出した受験生がいた。
その答案には「盲腸の手術をして数日、それはなかなか出ない。しかし僕は今日こそは出るぞと朝から期待していた…」と、自身の体験に基づく“屁の期待”の記録が克明に記されていたのだ。
というのも、黒板に書かれたお題はスペースの都合で2行に分かれていた。
経済学部
への期待
どうやら彼は、「経済学部(の試験のお題は)“への期待”」だと思い違いしたらしい。
遠藤は、こう書く。
彼が合格したかどうかは定かではないが、もし自分が採点者だったら、この懸命な解答に優は与えられなくても、少なくとも良は与えただろう、と。
福沢諭吉の教えを引用した模範解答よりも、この純粋で真剣な勘違いにこそ、人間味あふれる魅力を感じるからだ、と。
遠藤の人間観が垣間見える話ではないか。
ところでこの答案の実際の採点者は、黒板に書かれたお題の事情を知らなかったため、珍解答に驚きを隠せなかっただろう。
そして真相を知った時、思わず“プッ”と吹き出してしまったかもしれない。
プロフィール
ある編集者
大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。
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