日本エンタメ

2025/10/10

【毎日がエンタメ】コラム #19 これは実話かフィクションか? 人気グループのメンバーで俳優のRが叩かれ続けたワケ <後編>

今年4月、「週刊文春」によって、人気ボーイズグループのメンバーで俳優のRが過去に起こした女性トラブルが報じられた。
前編>でも触れたように、このスキャンダルは思いのほか各メディアのPV(閲覧回数)に貢献し、稼ぎネタとして報じられるようになった。
 
女性トラブル報道が飽きられると、今度は女優Sとの交際や結婚に関する続報に切り替わる。中でも注目を集めたのがSの父親で俳優Mとの「不仲説」だ。
 
たぶん、この報道に一番驚いたのが当の本人たち(笑)。
「なんで、そうなるの!?」

 
毎日がエンタメ 芸能スキャンダル リポストの真相

9月26日、ついにMがコメントで明かしたように、Rとの関係は不仲どころか極めて良好だった。
「S、Rおめでとう!これで去年から始まった我々の食事会が、1人増えてますます賑やかになるね。2人に感謝!」
 
このコメントから分かるように、MとRの関係性の良さは周囲の人たちも知っていたし、週刊誌の記者がきちんと取材していれば簡単につかめた情報だったに違いない。



もう1つ、一部メディアで報じられた謎の記事といえば「事務所問題」だ。
MがRを自身の個人事務所に迎え入れる計画だったが、女性トラブル報道によって白紙になったというもの。
 
“テレビ局関係者”や“芸能関係者”の言葉として書かれていたが、これは「空想」でしかない。
 
というのも、RがMの事務所に移籍するなんて話は出たこともないそうで、本人も考えたこともないという。
つまり、そんな事実は1ミリもない。1ミリどころかゼロだ。
 
0が100のように書かれた記事でも、一旦Yahoo!に転載されると瞬く間に批判コメントがついていく。
いくつかの媒体が「不仲説」と「事務所問題」というフィクションを何度も報じることで、多くの人がそれを真実と思い込んでしまう。まさに「嘘も100回言えば本当になる」の典型で、批判コメントが後を絶たない。
結果、PVが上がり、編集部が喜んで次々と続報を掲載するという負の連鎖だった。
 
コメントの中には「書かれている内容が嘘なら週刊誌を名誉毀損で訴えればいい」という書き込みも散見した。
実際、Rにそれを勧める声もある一方で、止めたのも周囲だった。
そんなものに要する時間と費用は無駄でしかなく、俳優として1つ1つの仕事を誠実にこなすほうが成長できるからだ。
しかもSと結婚し、新しい家族の誕生を待っている貴重な時期。わざわざ事を荒立てて、ストレスを感じる必要はない。
 
こうした経緯で、Rは週刊誌に何を書かれようと耐えることになった。
反論したいことは山ほどあっただろうが、本当によく耐えたと思う。
 
いくらきっかけが過去の女性トラブルとはいえ、義父となるMとの不仲説や事務所問題というデマが上積みされ、こんな展開になるとは本人も思ってもみなかったはず。
今となっては、「そもそも、なんでこんなことになったんだっけ?」と、発端となった女性トラブルを忘れている人もいるぐらいだ。
 
そして先月、第一子が無事に誕生し、Mもコメントを発表。ようやく真実が見えてきた。
これで“R叩き”も収束するように見えたが、2週間が過ぎた今、なぜか再びRが叩かれる事態に…。
 
結局のところ、Rをめぐる物語はそれが真実だったのかフィクションだったのか、曖昧なままシーズン2がスタートしてしまったようだ。

執筆者プロフィール

児玉愛子(らぶこ)

           

韓国コラムニスト。韓流エンタメ誌、単行本、ガイドブック等の企画から取材、執筆を行う。
メディアで韓国映画を紹介するほか、日韓関係やエンタメコラムを寄稿する韓国ウオッチャー。

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