コラム

2024/09/09

ネコろんで読む英語コラム (23)本来、7月のはずの“September”が9月になった由来は?

9月は英語でSeptemberだが、この単語の由来がなかなか興味深い。
 
フランス語に詳しい人ならお分かりかと思うが、septはフランス語で数字の7を意味する。元はラテン語で「7番目の」を意味するseptemから来ている。
 
と、ここまで読んで「おや?」と思ったあなた。そう、7番目の月なのになぜ9月なのか。
これには歴史のいたずらというか、思わぬ横やりが影響しているのである。
 
本来7番目の月だったはずが、ここに古代ローマの将軍ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)が、当時のローマ暦を作った際に自分の名前をねじ込んだのである。
シーザーの名前はJulius、これがJuly(7月)となった。
 
明場由美子 英語コラム ネコろんで読む英語コラム レオ ジュリアス・シーザー 英語の発音
 
それだけにおさまらず、なんと姪の息子で初代ローマ皇帝アウグストゥス(Augustus)の名前を取ってAugust(8月)としてしまった。
そのせいで2つずれこみ、9月が7番目の月になってしまうという、為政者の傲慢さを象徴するような事態が起きているのだ。



この2つのずれは9月だけにとどまらない。
10月を意味するOctoberも、octoはラテン語で8を意味する。つまり8番目の月なのだ。刺身でも煮物でも美味しいoctopus(タコ)は足が8本あることからこの名が付いた。
 
また音楽用語のoctaveも、1オクターブは8音である。Novemberのnovemは9、Decemberのdecemは10で、シーザーとアウグストゥスが横入りしたせいでその後ぜんぶ2ずつずれてしまっている。こんな理不尽があっていいのだろうか。
 
シーザーやアウグストゥスが生きていた紀元前の時代はしょうがないにしても、近代に入ったころにこのずれを何とかしようと言う人は出てこなかったのか。
 
古代ローマの英雄の名前が不自然にねじ込まれていることにイギリスやアメリカの人たちは何とも感じないのだろうか。毎年9月になるとそんなことを思う私なのだった。

執筆者プロフィール

Yumi

English Boot Camp代表。英語発音コーチ、著者。東京在住の大阪人。
2010年に開設した英語学習者向けのYouTubeはチャンネル登録者数が19万人を超える。
小学生の時にゴダイゴのタケカワユキヒデのファンになり英語に興味を持つ。
思春期は洋楽(ロック)とアメリカ文化に傾倒し、いつしか英語を教えるように。
著書に『ネコろんで学べる英語発音の本』がある。タイトルからもわかるように大の愛猫家。

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