写真・アート

2024/06/12

【ジェリー・ヤンの世界撮りっぷ】カンヌのビーチクラブで山下達郎さんの歌を聴きながら

最近パリの気温がやっと上がってきた。晴れてる日も増えている。
街の人たちも久しぶりに満面の笑み。その理由はもちろん「夏のヴァカンスがもう遠くないから!」
 
ヨーロッパ住まいの醍醐味はいろいろあるけど、どんな国の人も想像しただけで絶対に笑顔になるのが“地中海の夏ヴァカンス”だ。
僕もこれまで12年の在住で何度も地中海ヴァカンスを堪能してきたので、これから少しずつ写真で紹介したいと思う。
 
今週の写真は、僕にいつも山下達郎さんの「RIDE ON TIME」を思い出せる一枚だ。

 
場所はカンヌのビーチクラブ。
ジェリー・ヤン 世界撮りっぷ カンヌ ビーチクラブ 山下達郎
©Jerry Yang
 
ビーチクラブとは、有料でビーチパラソルやデッキチェア、デイベッドを半日から一日レンタルし、砂浜で海三昧を満喫できる施設のことだ。
カンヌのビーチクラブはご想像のとおり、安くはない。平均以上の金額だ。
その代わり、設備の管理やカクテルのクオリティ、そして料理の質まですべて満足できるレベル。お金を使った分だけのサービスを受けられ、一日“お金持ち”の気分で過ごせる。



しかし皆さんはご存知ですか?
カンヌには元々、砂がなかったことを。
 
そもそもコート・ダジュールの水が青く綺麗に見える理由は、沿岸のほとんどが石だからだ。もし砂浜があれば、水の中に少量の砂が混じり合い、水が青ではなくなる。バルセロナの海の色が青くない原因と同じだ。
つまりカンヌもニースと同じで、実は石の海岸だ。
 
じゃ、今すごくふわふわな砂浜があるのはどうして?
 
それはアフリカで大量の砂を買って運送し、砂浜を人工的に作ったからだ!
それだけじゃない。実はカンヌあたりは波がとても強い。作った砂浜が毎日少しずつ海水に持っていかれる。だから毎年新しい砂を買って補填している。
 
このご時世で、さすがにSDGsが目標とする地球環境の保全には程遠いけど、写真のように炎天下の夏の浪漫を存分に満喫できる場にはなっている。
 
たまには、こんな人工物を地球に置いておくのも悪くはない。冷たいサングリアをストローですすって達郎さんの音楽を聴きながら、この景色をゆっくりと眺める。
そんなに罪悪感を感じるほどでもないと思う。

プロフィール

Jerry Yang(ジェリー・ヤン)

フランス・パリを拠点とするベンチャーキャピタル投資会社「HCVC」のゼネラル・パートナー。
台湾の高雄で生まれ育ち、起業家として台湾からシリコンバレーへ。渡仏した後、ベンチャー投資を行う。
趣味で世界各地を旅行し、撮影した写真が「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたこともある。

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