2024/01/28
【ジェリー・ヤンの世界撮りっぷ】息を呑むほど美しい雪のパリ
パリに引っ越してから12年間―。
すぐに知ったのは、パリでは雪があまり降らないということ。たとえ降っても街が真っ白になることは滅多にない。
が、パリでの初めての冬、なんと3日間も雪が降り続いたのだ。
日曜の朝、目を覚ますと街が真っ白になっていた。
やや高揚感を抑え、カリフォルニアで買ったコートを着て、ライカM9とノクティルックス(愛称:ノクチさん)を持って外に出かけた。

©Jerry Yang
ライカで雪の中で撮影するのは初めてだった。通常の天気でもノクチさんをレンジファインダーカメラでフォーカスするのはかなりの作業。f/0.95の絞りは被写界深度が極めて浅いからだ。
まるで冷凍庫のような風が吹き抜ける中、氷のように冷たい金属ボディに指が触れた瞬間、僕は思った。
ほぼ一世紀前にアンリ・カルティエ=ブレッソンが自分のライカで同じような気持ちを抱いたのではないか。
半分、自惚れた気分でそんなことを想像しちゃった。
それにしても雪のパリは息を呑むほど美しい。

©Jerry Yang
雪が騒音を吸収し、普段は賑やかな街がとても静かで穏やかに感じられた。まるでパリ全体を僕が独り占めしているかのようだ。
半年前のカリフォルニアの晴れた天気が、数光年先のように感じられた。
その後の12年間で、僕がこのような白く静かなパリを目にしたのはわずか数回。
地球温暖化の影響で、いつか白いパリが見られなくなるかも。
プロフィール
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Jerry Yang(ジェリー・ヤン)
フランス・パリを拠点とするベンチャーキャピタル投資会社「HCVC」のゼネラル・パートナー。
台湾の高雄で生まれ育ち、起業家として台湾からシリコンバレーへ。渡仏した後、ベンチャー投資を行う。
趣味で世界各地を旅行し、撮影した写真が「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたこともある。
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