2024/08/01
ある編集者のつぶやき #31 吉幾三『俺ら東京さ行ぐだ』が切り拓く新しい世界 #IKZO
ニコニコ動画がサービスを始めた頃、そこは著作権の概念などない無法地帯だった。
そこから「マッシュアップ」という遊びが発展した。
マッシュアップとは、 音楽においては異なる楽曲や音源を組み合わせて、新しい作品を作ることだ。多くは異なるアーティストの楽曲を一つのトラックにミックスすることを指す。
もっとも有名な作品の一つは、2008年3月17日にアップされた「Capsule×DaftPunk×BeastieBoys」のマッシュアップだろう。
これはCapsuleの「Starry Sky」とDaft Punkの「Technologic」、Beastie Boysの「Ch-Check It Out」を巧みに組み合わせたもので、特にエレクトロニカとヒップホップの融合が絶妙であると、現在に至るまで高く評価されている。
一説には、Capsuleのプロデューサーである中田ヤスタカも大のお気に入りで、実際にライブで流したこともあるらしい。
ところがこれにさらに、もう1曲をリミックスした動画が同年4月26日にニコニコ動画にアップされた。
『俺ら東京さ行ぐだ』をリミックスした、「吉幾三×Capsule×DaftPunk×BeastieBoys StarrySky – IKZOLOGIC Remix」
元のマッシュアップに対して意外すぎる第4曲目をリミックスしたことで、理由は不明だがなぜか中毒性が増し、ネット民の間で吉幾三の評価がにわかに上がった。
これに触発された他のネット民たちは、さまざまな曲に吉幾三の『俺ら~』をリミックスし始めた。
その一部は、YouTubeで#IKZOと検索すれば聴くことができる。
僕の#IKZOのおすすめは、上記の不朽の名作に加え、下記の3つだ。
「IKZO×TM NETWORK 俺らゲットワイルドだ」
「IKZO×マイケルジャクソン IKZO スリラー」
「幾三クエスト5 農村の花嫁」
原曲はいずれも名曲中の名曲だが、この素朴で、何ならカラオケでネタソングとして歌われる曲とのリミックスを一度聴いてしまうと、なぜか原曲に物足りなさを感じてしまうという不思議な現象が起きる。
音楽理論的には、『俺ら~』はメロディがシンプルであること、ポップミュージックで多用される4拍子であること、コード進行に普遍性があること、などで、どんな曲ともマッチする理由は説明はできるらしい。
が、そんなことはどうでもよくて、まずはYouTubeで#IKZOで検索してみて、ぜひ吉幾三の歌の汎用性と中毒性を楽しんでみてほしい。
余談だが、あまりにもどんな曲とも合うため、#スンクロ率441.93%(ヨシイクゾウ)というハッシュタグもよく使われる。
プロフィール
ある編集者
大学卒業後、大手出版社に勤務。
子供の頃から漫画が大好きだったが、いざ大人になると小説の編集にかかわり、多くの作品を世に送り出すことに。
ここでは思ったことを率直につぶやいてみたい。
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